「どんな結果か楽しみ」 パラ競泳の次世代エース、滋賀・守山出身の南井瑛翔選手
産経ニュース / 2024年8月27日 13時5分
「どんな結果が出るかわくわくしている」。パリ・パラリンピック競泳の南井瑛翔(あきと)選手(21)=滋賀県守山市出身、近畿大=が29日、50メートル自由形(S10)に出場する。悔しさにまみれた東京大会を経て、心身ともに大きく成長。目標とするメダル獲得に向け、パリの地を盛り上げるつもりだ。
パリ大会の選考会を兼ねて3月に静岡県で行われた春季チャレンジレース。得意とする200メートル個人メドレーをアジア新記録のタイムで泳ぎ切り、派遣記録を突破。パリへの切符を手にすると、プールサイドで号泣した。「パリに行けなかったらどうしようってめっちゃ怖かった」。
1年延期となったことでチャンスを得た東京大会は「気づいたら飛び込んでいて、気づいたらタッチをしていた」と、出場した個人2種目でいずれも予選敗退するなど、厳しさを味わった。
以降、正しい位置で水をつかめているかや、泳ぎのテンポなど、自らの泳ぎを見つめ直した。筋力トレーニングや食事面の改善にも取り組み、タイムは向上。現在はアジア記録を含む7つの日本記録を保持している。本人は「タイムが出ているので今は泳ぐのがすごく楽しい」と話し、「次世代エース」との呼び声も高い。
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生まれつき左足首から先がない。両親の「障害を気にせず生活してほしい」との思いから、5歳のとき水着姿になる水泳を始めた。地元のスイミングスクールで小学3年までに、各クラスの進級基準をクリアすればもらえる「ワッペン」をすべて取った。「どんどんクラスが上がったので、それが楽しかった」と水泳にのめり込んでいった。
市立守山中3年のときに顧問の勧めもありパラ水泳に出合うと、1年後のジャパンパラ大会では、50メートル自由形と100メートル自由形の2種目で自身初となる日本記録を樹立し、頭角を現した。
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パラスポーツでは選手の移動などをサポートするため、家族が遠征に同行するケースも多い。南井選手も例外ではなく、大学に進学するまで、国内で行われるレースには、父の隆徳さん(50)と母の有湖さん(46)が付き添った。
「うわ終わったわ」「やばい」「もうあかん」。思うような記録が出なかったときや、スクールで進級できなかったとき。これまで2人に思いを吐き出してきたのは一度や二度ではない。もっとも「本人は終わったなんてさらさら思ってないんですよ。大会に向けて気持ちを切り替えるために言ってるんですかね」と有湖さんは笑う。
パリ大会では4種目に出場する。南井選手は「4年に1度の国を背負って戦う特別な試合。プレッシャーを楽しみながら、メダル争いができれば」と意気込んでいる。
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