日米首脳会談、中朝の脅威で足並み トランプ氏のディール備え連携維持課題
産経ニュース / 2025年2月9日 0時59分
【ワシントン=坂本一之】トランプ米大統領と石破茂首相は7日の日米首脳会談で、中国の威圧的行動を名指しで批判し、日米同盟の強化や多国間連携で対抗する方針を打ち出した。経済関係では双方にとって「ウィンウィン」となる対米投資に力点を置き、足並みをそろえる姿の演出に腐心した。ただ、中国や北朝鮮との直接対話に意欲を示すトランプ氏が日本の意にそわない「ディール(取引)」を交わす可能性は否定できない。
トランプ氏「中国の経済的侵略に対抗するため緊密に協力することで合意した」
石破氏「世界の平和、地域の安定のために互いが責任を果たしていくことで一致した」
両首脳は記者会見で、日米が連携して中朝などの脅威に対処する姿勢をアピールした。中朝を意識し、日米間に亀裂が走る事態を避けることに配意した跡もうかがえる。
随所に満足させる仕掛け
会談や共同声明ではトランプ氏を満足させる仕掛けが随所にちりばめられた。日本の対米投資の1兆ドル(約151兆円)への引き上げ、液化天然ガス(LNG)輸入のほか、共同声明には不法移民対策のための情報共有強化も盛り込まれた。
日本政府内には、トランプ氏が防衛費の大幅増を要求する可能性を懸念する声もあった。米政権内に日本の防衛費を国内総生産(GDP)比3%に引き上げるよう求める声があったからだ。
だが、共同声明では、2027年度までの5年間で防衛費をGDP比2%とする日本の計画を米国側が評価する記述が盛り込まれた。28年度以降も「抜本的に防衛力を強化」することを求めてはいるが、少なくとも27年度までの計画には異を唱えなかった。
共同声明では「中国の東シナ海における威圧」を批判し、「台湾海峡の平和と安定」も明記して中国の台湾侵攻を牽制(けんせい)。「トランプ氏は台湾防衛に関心がない」という一部の評価を打ち消そうとした形だ。北朝鮮による拉致、核・ミサイル開発を巡る問題への対応でも連携を確認した。
大きな政策転換は回避
バイデン前米政権と岸田文雄前政権が進めた日米防衛産業の共同生産・開発、日米韓や日米比などの多国間連携を継続する方向も示され、日米外交筋は「大きな政策転換は回避された」と安堵(あんど)した。
ただ、トランプ氏は7日の記者会見で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との個人的関係が「世界にとって大きな財産だ」と強調。これまで中国の習近平国家主席との会談にも意欲を示している。
日本の頭越しのディールへの懸念は、第1次トランプ政権でもあったが、安倍晋三元首相はトランプ氏と頻繁に接触し、調整を図った。石破氏はトランプ氏のディールで日本が蚊帳の外に置かれないよう、常に意思疎通を試みることが求められる。
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