在米イスラム指導者ギュレン師死去 トルコ・クーデター未遂「黒幕」

【ワシントン＝大内清】トルコで2016年に起きたクーデター未遂の黒幕とされるイスラム教指導者、フェトフッラー・ギュレン師が20日、事実上の亡命先である米国で死去した。83歳。同師が率いる教団の関係団体が21日、X（旧ツイッター）で明らかにした。

トルコ東部出身のギュレン師は、厳格な政教分離を国是とするトルコで1970年代以降、学校や慈善団体の運営などを通じて信者を獲得し、政財官界に強い影響力を持った。99年に病気治療名目で渡米して以降、米国を拠点としていた。

トルコで2003年に政権を握ったイスラム系与党「公正発展党」のエルドアン首相（現大統領）はもともと、世俗派の軍や司法界に対抗するため、ギュレン教団と共闘関係にあった。しかし、世俗派が力を失った後の13年ごろから両者は対立。エルドアン政権は、16年7月に起きたクーデター未遂は軍や政府に浸透したギュレン教団によるものだと主張し、米国に同師の身柄の引き渡しを求めていた。