ネタニヤフ氏訪米 バイデン、トランプ両氏と会談へ 政権交代にらみ両天秤外交
産経ニュース / 2024年7月24日 8時20分
【ワシントン=大内清】米ホワイトハウスは23日、訪米したイスラエルのネタニヤフ首相とバイデン大統領が25日に会談すると明らかにした。11月の大統領選で返り咲きを狙う共和党のトランプ前大統領も23日、ネタニヤフ氏と26日に南部フロリダ州の邸宅マールアラーゴで会談すると発表。パレスチナ自治区ガザでの停戦実現に向けて国際的な対イスラエル圧力が強まる中、ネタニヤフ氏は米国の政権交代の可能性をにらみ、バイデン政権とトランプ氏を天秤にかけている格好だ。
ネタニヤフ氏は24日、米議会の上下両院合同会議で演説する。演説への招待は、親イスラエル姿勢を鮮明にする下院多数派の共和党が主導した。ガザ情勢などを巡り国内の政治基盤が不安定化しているネタニヤフ氏は、この機に自身への米議会内の支持をいっそう強固にする狙いがある。
一方、ネタニヤフ氏とバイデン政権はぎくしゃくした関係が続く。極右政党と連立を組むネタニヤフ氏が、米国が仲介するガザ停戦協議で強硬な態度を崩さないことや、バイデン政権が目指す将来のパレスチナ国家樹立による「2国家共存」を否定し、国際法に違反するヨルダン川西岸などでの入植活動を進めるなどしているためだ。
バイデン氏は25日の会談で停戦協議の前進を働きかけるとみられる。ただ、同氏は11月の大統領選から撤退したことで外交的なレバレッジ(てこ)が弱まっているのが現実。停戦実現に向けた成果が得られるかは極めて不透明だ。
これに対しトランプ氏は、ネタニヤフ氏と会談することで、支持基盤である親イスラエル的なキリスト教福音派や右派ユダヤ系の票固めを狙う。
トランプ氏は1期目、ネタニヤフ氏と蜜月関係を築いたが、過去には米軍による20年1月のイラン革命防衛隊司令官殺害に同氏が土壇場で協力しなかったとして不快感を表明した経緯もある。ネタニヤフ氏にとってトランプ氏との会談は、こうしたわだかまりを解き、同氏が大統領選で返り咲いた場合の対米関係を円滑化する布石となる。
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