米、G7で停戦案支持獲得も実現見通せず 来月NATO首脳会議へ結束強化
産経ニュース / 2024年6月15日 7時58分
【ファサーノ(イタリア南部)=坂本一之】バイデン米大統領は14日夜、先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれたイタリアを出発し帰国の途に就いた。パレスチナ自治区ガザを巡る自身の停戦案に各国首脳から支持を得たが、実現するかは不透明だ。7月には米ワシントンで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が控えており欧州、中東、インド太平洋の各地で抱える課題対処に向けて地域を越えた同盟国や友好国との結束を図る。
バイデン氏はG7首脳からガザを巡る停戦案への支持を得て、首脳声明に「完全に支持する」と明記することに成功した。中東和平で重視する、将来のパレスチナ国家とイスラエルの「2国家共存」を目指すことも盛り込んだ。
14日に行ったサミット議長のメローニ伊首相との会談で、即時停戦の必要性を確認。両首脳でイスラム原理主義組織ハマスに停戦への「建設的な取り組み」を促した。米政府高官は同日、「イタリアはNATOの強力なパートナー」であり、ガザ問題に関して「メローニ氏は力強いパートナーだ」と持ち上げた。
バイデン氏は昨年10月、ハマスの大規模攻撃を受けたイスラエルの防衛を支持し、同盟国として反撃する同国を支援してきた。しかし、イスラエル軍のガザ攻撃で多数の民間人犠牲者が出続けると、米国内で支援への反発が起きた。
ガザへの人道支援を強化し、民間人保護に向けイスラエルに自制を求めたが犠牲者は増え続け、再選を目指す11月の米大統領選への影響が懸念される状態だ。
犠牲者拡大を防ぐためバイデン氏は5月末に停戦案を発表。交渉は難航し、サミット前にブリンケン国務長官を中東に派遣して調整を図ったが、バイデン氏は13日の記者会見で「最大の障害はハマスが停戦案への同意を拒んでいることだ」と停戦が実現しない苦悩を吐露した。
ただ、事態打開に向け地域を越えた連携で大きな国際世論を形成し圧力をかけ続ける方針だ。中東でガザやイラン問題、欧州はロシアのウクライナ侵略、インド太平洋で中国への対処に追われる中、同盟国や友好国との連携は欠かせない。
バイデン氏はG7前にフランスを国賓訪問し米欧の結束を訴えた。2週連続の訪欧という強行軍で連携強化の機運を醸成し、NATO首脳会議で中露や中東問題に対する結束をインド太平洋地域からの参加国を含め強化したい考えだ。
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