バイデン大統領 長射程兵器露攻撃容認 北朝鮮参戦で方針転換 派兵停止圧力も
産経ニュース / 2024年11月18日 8時16分
【ワシントン=渡辺浩生】米メディアは17日、ウクライナに米国が供与した長射程兵器を使ったロシア領内への攻撃を、バイデン大統領が容認したと報じた。ロシアのウクライナ侵略に北朝鮮が参戦したことを契機に政策転換した。早期停戦を主張するトランプ次期大統領の大統領選勝利を受け露軍の攻勢強化も予想され、ウクライナ軍の反撃能力をテコ入れする。北朝鮮に派兵停止を迫る圧力も意識したとみられる。
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、バイデン氏が容認に踏み切ったのは、米国が供与している射程300キロの地対地ミサイル「ATACMS」による露領内の軍事拠点への攻撃。ウクライナのゼレンスキー大統領は同日の声明で「われわれは言葉では攻撃しない。ミサイル自体が語るだろう」と述べ、使用に意欲を示した。
ゼレンスキー氏はATACMSによる対露攻撃を戦勝計画の柱に位置づけ容認を求めてきたが、バイデン氏はロシアの米欧への報復を懸念し拒んできた。しかし、北朝鮮がロシアの侵略を支援するため約1万人の部隊を派兵。一部は、ウクライナが今夏以降占拠を続ける露西部クルスク州に投じられた。同州が露軍側に奪還され、戦況がウクライナに不利に傾く事態を回避するため、バイデン氏は14日からの南米訪問の直前に決断した。
ウクライナはATACMSで同州内の露軍や北朝鮮軍の集結地点などを直接攻撃するとみられ、米高官は同紙に対し「これ以上派兵すべきでないとのメッセージを北朝鮮に送る」と語った。
ロシアの侵略開始以降、バイデン氏はウクライナが勝利に必要と訴える兵器や能力の提供を迅速に許可しない対応を続けてきたが、北朝鮮参戦とトランプ氏の勝利で環境は一変し、残る任期中に自らの権限で最も効果的な決断に踏み切った形だ。長射程兵器を提供する英仏なども追随するとみられる。
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