トランプ氏、次世代ミサイル防衛システム構築へ 名称「アイアンドーム」で迎撃力アピール
産経ニュース / 2025年1月29日 14時4分
【ワシントン=坂本一之】トランプ米大統領は27日、米国に対する弾道ミサイルや極超音速ミサイルによる攻撃への防衛力を強化するため、次世代ミサイル防衛システムの構築を図る大統領令に署名した。現在のミサイル防衛網は、中朝露が保有・開発する多弾頭の弾道ミサイルや変則軌道の極超音速ミサイルに突破される可能性が指摘されていた。
レビット大統領報道官は28日の記者会見で、「国防総省に調査や研究を指示した」と述べた。大統領令は「弾道ミサイルや極超音速ミサイル、巡航ミサイル、さらに先進的な空からの攻撃は米国が直面する最も壊滅的な脅威だ」と指摘。中朝露などが新型ミサイルの開発を進めていることを踏まえ、防空能力を強化する必要性を強調した。
次世代ミサイル防衛システムによって「国外からの攻撃を抑止し、国民と重要インフラを守る」と説明。相手に報復攻撃できる戦力の維持も掲げた。
具体的には、ヘグセス国防長官に次世代ミサイル防衛システムの構築に向けた計画を60日以内に提出するよう指示した。要件として、ミサイルを宇宙空間から迎撃する能力や相手が発射する前にミサイルを破壊する能力の開発に加え、衛星などを使って極超音速・弾道ミサイルを追尾する能力の強化を求めた。
また、前方展開する米軍や同盟国の防衛強化に向け、ミサイル防衛に関して同盟国との協力を継続することも明記。技術開発や運用などで2国間や多国間協力を推進するとしている。
トランプ氏は次世代システムの名称を「アイアンドーム」とした。イスラエルは同じ名称の防衛システムを開発し、短距離のロケット弾などに高い迎撃率を誇る。
トランプ氏は全く別の次世代システムを米国版「アイアンドーム」と銘打つことで、極超音速ミサイルなどを撃ち漏らさない高い迎撃力をアピールする狙いとみられる。
米軍は現在、ミサイル防衛として「地上配備型迎撃ミサイル(GBI)」や「高高度防衛ミサイル(THAAD)」、「パトリオット」などの装備を運用しており、中朝からの攻撃に備えてグアムを守る新型システムも開発している。
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