米大統領、正式選出までのシナリオは 訴訟や妨害など波乱含み…2020年の教訓生きるか
産経ニュース / 2024年11月4日 15時50分
【ワシントン=渡辺浩生】米大統領選は5日の投票後、来年1月6日に議会が正副大統領を正式に選ぶまでに波乱も予想される。共和党候補のトランプ前大統領が民主党候補のハリス副大統領に僅差で敗れた場合には、トランプ氏が敗北を認めなかった2020年の前回大統領選と同様、法廷闘争や選出手続きの妨害が起きる恐れがある。
大統領選はほとんどの州で最多の票を獲得した候補がその州に配分された大統領選挙人を総取りし、全米の選挙人合計538人の過半数270人以上を獲得した候補が勝利する。
各州は票を集計し、12月11日を期限に候補者が獲得した選挙人数が最終確定する。選挙人は同17日に集まり、大統領を選出する投票を行う。
この間予想されるのが、州が集計した選挙結果への異議申し立てだ。20年大統領選では、トランプ陣営が60件以上の訴訟を激戦州などで起こした。大半が証拠不十分などで棄却、または取り下げとなったが、今回の選挙も民主、共和の両陣営が弁護団を組織し法廷闘争に備えている。
20年の混乱を教訓に22年に成立した選挙人集計改革法は、州の認定を不服とした候補の訴訟はその州の連邦地裁で3人の判事が速やかに審問し、上訴の場合は最高裁が選挙人投票の前日までに最終判断を示すと定めた。
最後の関門は連邦議会だ。25年1月3日に新議会が招集され、6日の上下両院合同会議で各州の選挙人投票結果を認定し、正式に正副大統領が選出される。21年はこの段階で、トランプ氏がバイデン大統領の勝利を覆そうと議長役のペンス副大統領に圧力をかけ、トランプ氏の支持者が議会を襲撃した。
このため選挙人集計改革法は、副大統領の役割を議事進行に限り、投票結果を拒否する権限がないと明確化。議員が異議を唱えるには、上下両院それぞれ20%の賛成が必要と定めた。
仮に270人以上の選挙人を獲得した候補が出ない場合には、合衆国憲法修正12条の規定に基づいて決選投票が行われ、下院が大統領を、上院が副大統領を選ぶ。下院では各州に1票が与えられ、全州の過半数を得た候補が当選する。
トランプ氏が僅差で敗れた場合のいくつかのシナリオが既に浮上している。CBSテレビによると、1月3日の新議会招集で議会運営に大きな権限を持つ下院議長が一部議員の妨害で選出されず、6日の合同会議に不測の事態が生じる可能性が取り沙汰されている。
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