ハリス氏、米大統領選で世代交代訴えトランプ氏に対抗 現政権批判が向かう恐れも
産経ニュース / 2024年8月3日 18時22分
【ワシントン=坂本一之】11月の米大統領選に向け民主党の候補指名が確定したハリス副大統領(59)は、バイデン大統領(81)からの世代交代を訴え、共和党候補のトランプ前大統領(78)に対抗する構えだ。今後は政策論議を通じて、バイデン氏の路線継承に終わらない具体的な施策を打ち出すことが求められる。
ハリス氏は2日、大統領選は「未来」を懸けたものだと強調した。高齢で大統領経験者のトランプ氏を「過去」として対比させ、支持拡大を図る戦略だ。自らが率いる政権の下で「自由や思いやり、法の支配の国に住みたいのか」、トランプ政権の下で「混乱や恐怖、憎しみの国に住みたいのか」と有権者に問うた。
ハリス氏は政策面でバイデン路線を基本的に踏襲している。人工妊娠中絶の権利擁護を前面に打ち出して無党派層への浸透を図り、民主党の支持組織である労働組合票を固めることにも躍起だ。医療や子育ての負担を軽減させる考えもアピールしている。
ハリス氏は不倫口止め料を巡る会計不正処理事件で「有罪」となったトランプ氏を批判し、かつて検事だった自身との資質の違いを強調。黒人・アジア系で初の女性大統領を目指す立場を生かし、トランプ氏に引き寄せられる黒人やヒスパニック(中南米)系の支持奪回も目指す。
米ブルームバーグ通信などが7月30日に公表した接戦7州の世論調査ではハリス氏が勢いを見せる。バイデン氏が支持率でトランプ氏に負けていた西部のアリゾナやネバダでハリス氏が優勢となり、南部ジョージアでは同率となった。7州全体ではハリス氏が48%でトランプ氏を1ポイント上回る。
ただ、食品や住宅など物価高に対する有権者の不満は強く、批判がバイデン政権ナンバー2のハリス氏に向かうことも予想される。実績を出せなかった移民・国境対策も課題だ。厳しい政策を打ち出せば民主党左派が反発し、消極的な姿勢を示せば無党派層が離れるというジレンマもある。
パレスチナ自治区ガザ情勢を巡っては、若者を中心にイスラエルを支援する政権への反発がくすぶっている。ガザでの被害が広がれば、票を失うこともありえる。
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