バイデン氏、最高裁改革を提案 トランプ氏免責特権の判断批判「誰も法を超越しない」
産経ニュース / 2024年7月30日 9時24分
【ワシントン=大内清】バイデン米大統領(81)は29日、連邦最高裁を現在の終身制から任期制にすることや、法的拘束力のある倫理規定を設けることを柱とする改革案を提示し、議会に必要な立法措置を求めた。大統領が任期中に行った犯罪は「免責特権」の対象にはならないことを明確にした憲法修正条項の必要性も訴えた。与党・民主党は11月の大統領選と議会選に向け、これらを目玉政策として打ち出す構えだ。
提案は、保守派優位の最高裁が今月初め、4つの刑事事件で起訴されている共和党のトランプ前大統領(78)について「公務」に関連する行為では免責を認めるとする判断を下したことを受けたもの。同判断を批判するバイデン氏は29日、南部テキサス州オースティンで演説し「大統領であっても法律を超越することはできない。米国は王や独裁者の国ではない」と語った。
最高裁判事は現在、長官を含む6人が保守派、3人がリベラル派の構成。終身制のため、原則として本人が死去するか辞任するまで地位にとどまることができる。
これに対しバイデン氏は、任期を最長18年に制限するべきだと主張。保守派の複数の判事が共和党の有力献金者から豪華旅行などの饗応を受けていたことが明らかになっているのを念頭に、贈答品に関する情報開示や、公的な政治活動への不参加、判事本人や家族に利益相反の疑いがある事件の審理には関与させないことなどを法的に義務付けるべきだとも訴えた。
最高裁では近年、人工妊娠中絶は憲法上の権利だとしてきた1973年の判断が覆るなど、共和党が基盤とする保守派寄りの判断が相次ぎ、民主党に多いリベラル派は危機感を強めている。
米議会は現在、下院の多数派を共和党が、上院を民主党が握るねじれ状態にあり、今回の提案がすぐに議会を通過する可能性はない。バイデン氏には、最高裁改革を訴えることで、ハリス副大統領(59)が出馬する11月の大統領選と議会選でそれぞれ同党の支持を広げる狙いがある。
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