イバンカからララ? 「トランプ2・0」で変わるシンボル 義理の娘、歌手としては批判も
産経ニュース / 2024年11月14日 10時59分
米大統領選で共和党のトランプ前大統領(78)が4年ぶりのホワイトハウス帰還を決めた。人材供給元であるシンクタンクや前政権時の担当者と距離があるとされるトランプ氏にとって、頼れる存在となりそうなのが家族だ。2017年からの第1期政権で一家の象徴的存在となったのは長女のイバンカ氏(43)。長身金髪の才媛で物腰柔らかく、父とは真逆のソフトなイメージで外交舞台にも立ったが、今選挙ではほとんど表舞台に姿を見せなかった。代わって目立ったのが次男、エリック氏(40)の妻、ララ氏(42)だ。歴史的勝利となった選挙戦の立役者の1人として、来年1月発足の「トランプ2・0」政権の注目人物に浮上している。
政治から距離置くイバンカ氏
6日、南部フロリダ州のパームビーチ。「ゴッド・ブレス・ザ・USA」(神よ、米国に祝福を)が流れる中、トランプ氏とメラニア夫人(54)を先頭に一家が会場壇上に姿を表した。「変化」を如実に感じさせたのが立ち位置だった。「米国は新たな黄金期に入る」と誇らしげに勝利演説するトランプ氏の後ろは、向かって右にファーストレディーに復帰するメラニア氏。青のジャケットを着たイバンカ氏は副大統領に就任するバンス氏ら4人を挟む6人目だった。
イバンカ氏は今回の大統領選が本格化する前、「父を愛しているし、支援するが、政治の外からしたい」とSNSに投稿。3人の子供がおり、家族との生活を優先したいというのが理由だ。イバンカ氏と夫のクシュナー氏(43)は前政権で上級顧問を務めたが、トランプ支持者による連邦議会襲撃事件に関する米下院特別委員会の聴取でトランプ氏が不利になる証言をするなどし、現在は政治から距離を取る。
対照的だったのがララ氏だ。登場は一家で一番最後だったが、立ち位置は「最上」。トランプ氏の向かってすぐ左はトランプ氏の長男ジュニア氏(46)でも、次男のエリック氏でもなく、豪華な黒のドレスをまとったララ氏だった。メラニア氏よりもトランプ氏寄りに立ち、中央からのライブ映像にも頻繁に映り込み、歓声に微笑みをたたえた。
新たな「秘密兵器」
ララ氏は今回、共和・民主両党が競り合ったノースカロライナ州生まれ。2014年にエリック氏と結婚し2人の子供がいる。複数のテレビ局で司会やプロデューサーを務める一方で16年と20年の大統領選でトランプ氏の連絡広報担当として活動。トランプ氏が2度目の再選に臨むことが決まると、22年12月、トランプ氏に近いとされる「FOXニュース」を退職して選挙活動に軸足を置いた。今年3月には共和党全国委員会(RNC)の共同委員長に就任し、ナンバー2として選挙資金を掌握した。
勝利演説会場の立ち位置は論功行賞と見ることもできる。各州の投票先が固定化される中、揺れ動く州(スイングステート)の行き先がそのまま大統領を決める。伝統的な民主党支持層である黒人やヒスパニックなどの切り崩しとともに、重要となった女性票の掘り起こしで、ララ氏は選挙参謀だけでなく、トランプ氏再選のための女性の政治団体「Women for Trump」で広告塔的な存在を務めるなど、メラニア氏やイバンカ氏が表舞台に姿を見せないのと対照的な行動が評価されたようだ。
16年の当選時、米報道はイバンカ氏を「トランプ家の秘密兵器」と評した。ホワイトハウス入りを望まない前任者に代わり、ララ氏はトランプ政権の新たな「華」となれるのか。ちなみにララ氏は歌手としても活動。音楽制作も行うが、現地報道によると、音声や音程を補正するアプリ「オートチューン」を多用しているとして批判する声もあるという。(五十嵐一)
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