国民の「信任」背に公約実現へ全力 トランプ氏演説、バイデン政権への敵意随所に
産経ニュース / 2025年1月21日 18時10分
米共和党のトランプ大統領が20日に行った就任演説は、昨年11月の大統領選で民主党候補に大勝し、国民の力強い信任の下で政権運営に取り組むという自信が映し出された。約30分にわたる演説は、米国の繁栄や復活といった前向きなメッセージを前面に打ち出し、今後4年の任期中に取り組む政策の方向性を指し示す内容となった。
再び製造業立国に
「私は自信と楽観的な見通しをもって大統領に復帰する」
首都ワシントンの連邦議会議事堂で演説したトランプ氏は、表情を引き締めた。重厚な雰囲気の絵画や彫刻が並ぶ会場には、閣僚候補や上下両院の議員らが多数参列。バイデン氏ら歴代大統領も並んだ。
トランプ氏は選挙戦を振り返り、「7つの激戦州全てで力強い勝利を収めた」と述べて民意が示されたと強調した。
重点分野とする不法移民対策の強化や、国境管理の厳格化に詳しく言及した。時間を割いたエネルギーの生産拡大も、選挙戦の公約と重なる。トランプ氏は、米国は「地球上のどの国より大量の石油とガスを埋蔵している」と述べ、「世界中に輸出する」と力を込めた。「エネルギー大国」の地歩を固める姿勢を示した。その上で「米国は再び製造業立国になる」と強調。バイデン前大統領が注力した電気自動車(EV)の普及策を撤廃するとした。
バイデン氏はぶぜん
外交・安全保障面の言及は少なかったが、「かつてないような世界最強の軍隊を築きあげる」と主張。「われわれにとっての成功は戦いに勝つだけでなく、戦争を終結させることだ」とした。
ロシアによるウクライナ侵略戦争などの終結を図ることが米国に重要だと訴えた形だ。各地で起きる紛争を巡って「最も重要なことは戦争に巻き込まれないことだ」と語り、軍事的関与を控える方針を示した。
演説ではバイデン前政権への「敵意」も随所でにじみ出た。トランプ氏は「生活のあらゆる局面に人種と性別を組み込もうとたくらむ政策を終わらせる」と断言。少数派の権利向上を通じて社会活性化を目指す「多様性・公平性・包括性(DEI)」の推進を停止すると表明した。意見が割れるLGBTQ(性的少数者)の権利では、保守層の意向に沿って「性別は男性と女性の2つだけであることを政府の公式方針とする」と宣言した。
トランプ氏の近くに座ったバイデン氏は聴衆の拍手に加わらず、足を組んだままぶぜんとした表情をみせた。(ワシントン 坂本一之、本間英士、塩原永久)
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