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対中国は「対決」か「競争管理」か トランプ、ハリス両氏の政策 副大統領候補も影響か

産経ニュース / 2024年8月17日 14時0分

米国のハリス副大統領(左)とトランプ前大統領(AP)

11月の米大統領選に出馬する共和党のトランプ前大統領と民主党のハリス副大統領の対中国政策が注目されている。両陣営とも中国を「最大のライバル」とみなすが、トランプ氏が対決色を打ち出しているのに対し、ハリス氏は副大統領として「競争の管理」を目指してきた。ハリス氏は同盟・同志国との連携を重視するが、単独での「ディール(取引)」を好むトランプ氏が返り咲いた場合には米中関係の先行きは予測が難しくなる。

ハリス氏、安保で牽制も関税戦争に反対

ハリス氏は副大統領になるまで外交経験に乏しく、2021年1月の就任後しばらく、ブリンケン国務長官と毎週昼食をともにして〝集中講義〟を受けた。副大統領として19カ国以上を訪問し、岸田文雄首相を含む150人以上の政治家と会った。そのほとんどが同盟・同志国との交流だ。

顕著な例外が中国の習近平国家主席で、中国重視の姿勢がうかがえる。22年11月にタイで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で短時間会談し、ハリス氏は「開かれた対話」を維持すると伝えた。気候変動対策で協力を模索する考えとみられている。

安全保障では、東・南シナ海での中国の覇権的行動を牽制(けんせい)してきた。APEC後に訪問したフィリピンで、米国は「違法かつ無責任な行動に対抗するため、同盟・同志国を結集する」と語った。

台湾の頼清徳総統とは、頼氏が副総統だった22年1月、中米ホンジュラスの大統領就任式で立ち話をし、中国をいらだたせた。同年9月、横須賀の在日米軍の艦上で、米国は「台湾の自衛を支援する」と明言した。

上院議員時代には、19年と20年にそれぞれ施行された香港人権民主主義法とウイグル人権政策法の共同提案者を務め、人権侵害に加担した中国当局者に対する米政府の制裁発動を支持した。

経済関係では、トランプ前政権が仕掛けた対中関税戦争に反対し、「欧州やアジアの同盟国と連携して、中国の問題のある貿易慣行に対決すべきだ」と唱えた。デリスキング(リスク低減)を図りつつ、対中関係を維持する考え方とされる。

ただ、ハリス氏が大統領になって中国とどう向き合うかには未知の部分も多い。副大統領候補のウォルズ・ミネソタ州知事は「親中派」との見方もあり、ハリス氏の対中方針に微妙な影響を与える可能性がある。

トランプ氏は「大きな庭の高い柵」唱える

他方、トランプ氏が再選した場合の対中貿易は、1期目よりも攻撃的になりそうだ。公約集で「中国からの全ての輸入品に最大60%の関税をかける」と掲げ、党綱領に「中国の最恵国待遇を取り消す」と明記した。

トランプ氏はまた、安全保障上重要な米国の先端技術に限って保護するバイデン政権の政策を批判している。「小さな庭の高い柵」と呼ばれるバイデン政権の政策に対し、保護対象を広げる「大きな庭の高い柵」を唱えた。トランプ氏が返り咲けば、中国経済とのデカップリング(切り離し)が進むとの指摘が根強い。

安全保障を巡っては、トランプ氏の強硬姿勢が同盟相手に向く恐れもある。

トランプ氏は米誌ブルームバーグ・ビジネスウイークが7月に公表したインタビューで、米国の防衛負担に関する対価を支払うよう台湾政府に要求し、米国を「保険会社」になぞらえた。台湾を「米国の半導体事業を奪った」と非難し、中国の軍事行動から台湾を守るかという質問に対しては「米国から遠い」と口にした。トランプ氏の信用は大いに傷ついた。

背景には、16年大統領選でトランプ氏に勝利をもたらした「アメリカ・ファースト(米国第一)」主義がある。産業空洞化で「ラストベルト(さびた工業地帯)」と呼ばれる中西部での労働者の雇用確保を最優先する発想だ。

ラストベルト出身の副大統領候補バンス上院議員は中国を「最大の脅威」とみなしつつ、米国に安全保障を依存する欧州の現状は「顧客」だとし、「同盟国」としての自立を求める立場を示している。日本を含むアジアの同盟国に一層の自助努力を求めてくる可能性は高い。(ニューヨーク 平田雄介)

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