米民主党 バイデン氏の撤退論巡る対立長期化 大統領選でトランプ氏利する可能性
産経ニュース / 2024年7月21日 14時4分
【ワシントン=坂本一之】11月の米大統領選で再選を目指す民主党のバイデン大統領(81)と撤退を求める勢力との攻防が長期化し、党内から大統領選への影響を懸念する声が出始めた。党議員で撤退を求める声は上下両院の1割超に拡大する一方、バイデン氏側は党員投票などで「選ばれた候補だ」と訴えている。党内対立が尾を引けば共和党のトランプ前大統領(78)を利することになる。
民主党のタカノ下院議員は20日、バイデン氏に出馬辞退を求める文書を公表した。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、撤退論を掲げる議員は計36人で、上下両院で約260人いる党議員の1割を超える。
これに対し、バイデン陣営は19日にヒスパニック議連の団体から出馬への支持を得たと発表するなど支持固めを継続している。
ABCテレビなどは20日、クリントン元大統領と妻のヒラリー・クリントン元国務長官がバイデン氏の選挙戦継続を支持し、献金者に支援を促していると報じた。
バイデン氏の進退を巡る攻防は3週間近く続いていて、民主党関係者からは「破滅のループに陥っている」との声も出ている。
民主党内の対立はバイデン氏の選挙戦継続、撤退どちらの決断にも関わらず、尾を引く可能性がある。
バイデン氏への撤退圧力が強まる一因には、盟友だったペロシ元下院議長の言動がある。ペロシ氏に近い議員が撤退を公然と求める状況に、バイデン氏はペロシ氏に対して「怒り心頭」だとCNNテレビは報じた。
さらに、バイデン氏が副大統領として支えたオバマ元大統領が周囲にバイデン氏の選挙継続に懸念を示したと報じられたことも、不協和音の引き金になりかねない。
バイデン氏は副大統領時代、クリントン元国務長官が民主党候補となった2016年大統領選への出馬を断念し、のちに「毎日後悔している」と語っている。党内の圧力が強まっても選挙戦継続の意思を変えてこなかったのは、こうした背景やジル夫人、次男ハンター氏の後押しとされる。
撤退論が広がる中、バイデン氏は自身の進退をどう判断するか。民主党は大統領選に向けて岐路を迎えている。
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