ハリス氏、対イスラエルで「タフさ」前面 バイデン氏の慎重姿勢を修正
産経ニュース / 2024年7月26日 17時45分
【ワシントン=大内清、カイロ=佐藤貴生】ハリス米副大統領が25日に行ったイスラエルのネタニヤフ首相との会談は、11月の大統領選に向けた民主党の候補者指名を確実にして以降、初の外交舞台となった。従来のバイデン政権より強い調子でパレスチナ自治区ガザを巡る停戦協議の妥結を迫り、指導者としての「タフさ」を押し出す姿勢を示した。
マイノリティー、若者層を意識か
「(停戦に向けた)協議を仕上げるべき時だと伝えた」。ハリス氏は会談直後、単独でカメラの前に立ち、険しい表情でこう語った。首脳級の会談では異例の行動だ。
ハリス氏は「ガザの戦争に関する議論は、現実に反してしばしば二元論に陥ってしまっている」とも述べた。ネタニヤフ氏が前日の米議会での演説で、イスラム原理主義組織ハマスやそれを支援するイランとの戦いを、善悪二元論的な「野蛮と文明の衝突」と断じたことへの当てこすりといえる。
ガザ情勢でバイデン大統領は、一貫してイスラエルに慎重な態度をとってきた。イスラエル批判を極力避ける姿勢は、歴代民主党政権で「最も親イスラエル的」とも評される。上院議員時代からイスラエル政界と交流があることや、ユダヤ系であるブリンケン国務長官の影響などが指摘される。
夫がユダヤ系のハリス氏も、即時停戦や人道危機の懸念を強く訴えつつ、バイデン氏に歩調を合わせてきた。しかし、民主党の候補者指名が確実な中で迎えた今回の会談では、「言うべきことは言う」との態度を示し、経験不足が指摘される外交面で「強さ」を誇示した形だ。大統領選で支持拡大を狙う黒人などマイノリティー(少数派)や若者層には、ガザ攻撃を続けるイスラエルへの批判が強いことも、軌道修正を後押ししたとみられる。
イスラエル首相「動揺」と報道も
米国が5月に公表した停戦案を巡り、ハリス氏の国家安全保障問題担当補佐官を務めるフィリップ・ゴードン氏は6月、拒絶すればイスラエルは「終わりのない紛争」と「世界的な孤立」に陥ると強く警告している。
ハリス氏が大統領に当選してゴードン氏が要職に就けばイスラエルへの圧力が強まる可能性があるだけに、ネタニヤフ氏の心中は穏やかではないだろう。米ニュースサイト、アクシオスは、ハリス氏の強い態度を受けて「ネタニヤフ氏は動揺した」とするイスラエル政府高官の話を伝えた。
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