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「最大の脅威」直面する米国 両候補、ウクライナ・台湾で異なる外交姿勢

産経ニュース / 2024年11月5日 19時40分

ハリス副大統領(左)とトランプ前大統領(AP)

【ワシントン=渡辺浩生】米大統領選で民主党候補のハリス副大統領、共和党候補のトランプ前大統領のどちらが勝っても、第二次大戦以降最も深刻とされる複合的な危機への対処を迫られる。このため、候補者の外交・安全保障政策やそれに携わる閣僚・補佐官の人事を世界が注視している。

「米国が直面する脅威は1945年以降最も深刻かつ困難なもので、近い将来大規模戦争が起きる可能性も含まれる」。議会の超党派専門家パネル「国防戦略委員会」は報告書でこう指摘した。

ハリス氏は「権威主義対民主主義の対決」を踏まえた同盟重視というバイデン大統領の路線を踏襲しつつ、「法の支配」という自らが重視する価値観を外交政策に反映させる見通しだ。一方、トランプ氏は「世界で大規模紛争は起きなかった」という1期目の〝実績〟を強調しつつ、抑止に力点を置くとみられる。

ウクライナ支援堅持のハリス氏

勝者でアプローチが一変するのがロシアのウクライナ侵略への対応だ。

ハリス氏は約50カ国を支援に結集させた現政権の姿勢を堅持する一方、対露直接紛争の回避を優先し、ウクライナが勝利に必要とする兵器や能力の供与には慎重姿勢を続けそうだ。

これに対し、トランプ氏はプーチン露大統領との停戦交渉を即座に行うとし、援助継続に消極的だ。ただ、ペンス前副大統領補佐官だったケロッグ退役陸軍中将は「プーチン氏が交渉に応じなければ逆に軍事支援を強化する可能性もある」と指摘する。

北朝鮮の参戦で侵略は長期化・拡大化する危険がある。ハリス氏が対中露の秘密交渉を担うバーンズ中央情報局(CIA)長官を国務長官に起用する観測があり、北朝鮮に影響力を持つ中国を通じた外交圧力を模索する可能性もある。

トランプ氏は1期目、北朝鮮の核・ミサイル開発に武力行使も辞さない圧力を加え、金正恩朝鮮労働党総書記との首脳会談にこぎつけた。返り咲けばプーチン氏、金氏、中国の習近平国家主席との首脳外交に動きそうだが、紛争当事国との交渉は一歩誤れば相手の術中にはまる危険もある。

トランプ氏は台湾防衛に負担増要求

習氏は2027年までに台湾侵攻の準備を終えるよう軍に指示しているとされ、次期政権は任期中に侵攻リスクへの対処が迫られるのは必至だ。

バイデン氏は中国が台湾を攻撃すれば米国は軍事介入すると公言した。ハリス氏は当面、日米豪印4カ国の協力枠組み(クアッド)、日米韓、日米比の安保協力などを通じて、対中圧力を強めていくだろう。

トランプ氏は今夏、米メディアに「台湾は防衛の費用をわれわれに支払うべきだ」と語り、対中抑止強化に台湾の負担増を求めた。ただ、政権入りが取り沙汰されるコットン上院議員らは、ウクライナから予算や兵器を「台湾にシフトすべきだ」とも主張する。

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