NATO、インド太平洋国と協力深化で能力向上 露中朝の連携に対抗
産経ニュース / 2024年7月11日 12時46分
【ワシントン=坂本一之】北大西洋条約機構(NATO)加盟32カ国は10日、首脳会議でまとめた首脳宣言で、インド太平洋地域のパートナー国との協力強化を打ち出した。ウクライナ侵略を続けるロシアと中国や北朝鮮が連携を深める中、米国の同盟関係を軸にした大きな枠組みの協力を強固にし、中露の脅威に対抗していく考えだ。
「ロシアは中国や北朝鮮、イランの助けを借り武器生産を大幅増強している。われわれが後れをとるわけにはいかない」
NATOを牽引(けんいん)する米国のバイデン大統領は10日の会議で、ロシアの侵略を受けるウクライナへの軍事支援に危機感を示した。
NATOは対露制裁でロシアの兵器生産力をそごうとしたが、中朝などの協力で露軍が攻撃力を維持し、支援するウクライナ軍の領土奪還が思うように進まないからだ。
米欧がウクライナ支援に向けて防衛産業の体制強化に時間を要する中、自国地域で有事を抱えない日本や韓国、オーストラリアなどから装備の融通や生産協力を得ることは大きな助けになる。
ニュージーランドを含めたインド太平洋地域のパートナー4カ国はウクライナ支援を継続する上で重要な役割を担う。
また、中国による台湾への軍事侵攻といった脅威に直面するインド太平洋地域の課題をNATO側が共有し、中露双方への抑止力を高めることで「新たな侵略を防ぐことを重視している」と米国防総省関係者は話す。
ブリンケン米国務長官は10日の関連行事で、ロシアがウクライナに侵攻した2022年のNATO首脳会議で岸田文雄首相が「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と語ったことを紹介。地域を越えた団結で「より強く、より効果的になる」と協力強化の重要性を強調した。
NATOは22年の首脳会議で採択した「戦略概念」で、中国が「体制上の挑戦」を突き付けており、「インド太平洋地域はNATOにとって重要だ」と明記している。
今回の宣言では、インド太平洋のパートナー国とウクライナ支援に加えサイバー防衛や偽情報対策、技術における協力強化を盛り込んだ。平時からの連携で、欧州とインド太平洋の両地域が抱える脅威への対処能力を高めていく方針だ。
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