メモリアルデーの墓前で 緑の芝生にあった21世紀を戦う米国の姿 ポトマック通信
産経ニュース / 2024年6月14日 7時0分
放射線状に広がる白い墓石のすべてに小さな星条旗が供えられていた。米戦没者追悼記念日の5月27日、ポトマック川沿いのアーリントン国立墓地を訪ねた。南北戦争末期の1864年に最初の兵士が葬られて以来、40万人超の兵役経験者が埋葬されている。
同じアーリントンに住む私はよく足を運ぶ。ケネディ元大統領の墓や無名戦士の墓を回り、丘の上から対岸の首都を見下ろすのがいつもの見学コースだが、この日は方角を変え「セクション60」と呼ばれる区域に向かった。2001年の米中枢同時テロ以降の犠牲兵士が葬られた一角だ。
「愛する夫、父、息子へ」。死者にささげた言葉がアフガニスタンやイラクの国名と一緒に刻まれた墓石の前。シャンパンの栓を抜いて友人を追悼する若い男女、遺児をぎゅっと抱きしめる妻、花束を手に足を止めた母…。緑の芝生に他の敷地と同じでも遠い過去でなく、紛れもない21世紀を戦う米国の姿があった。
約800メートル離れた式典会場でバイデン大統領が演説を始めた。「ここに眠る戦士は米国と他者の自由のために戦ってきた。自由は保証されたものではないからだ」。民主主義と権威主義の対立が激しい世界。われわれが望むように米国が自由の守護者である限り、目の前の光景も途切れることはない。(渡辺浩生)
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