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トランプ氏、大統領令をフル活用へ パリ協定再離脱、EV振興策廃止・縮小…実効性に壁

産経ニュース / 2025年1月19日 13時31分

【ワシントン=塩原永久】トランプ次期米大統領は20日の大統領就任後、重要施策を迅速に実行できる大統領令などの権限を最大限に活用する方針だ。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」をはじめ国際合意から離脱する可能性が高く、世界各国に影響も広がりそうだ。

米外交問題評議会(CFR)によると、2017年の第1次政権の就任時、トランプ氏は初日に大統領令を4本出した。就任後1週間では計33本だった。今回、大統領令の本数は初日の20日から第1次政権を大きく上回るとの観測が根強い。

第1次政権のスパイサー元大統領報道官は、米メディアのイベントで「(21日の)朝、目覚めるころには、幅広い分野で100本超の大統領令が署名されているかもしれない」と話した。

大統領令の対象分野は幅広い。民主党のバイデン政権が力を入れた政策を、共和党大統領として転換する狙いもある。

環境・エネルギー分野では、パリ協定再離脱のほか、バイデン政権が導入した電気自動車(EV)振興策の廃止・縮小を目指す。石油や天然ガスの開発をしやすくする命令も出すとみられる。化石燃料の国内生産を増やしたいトランプ氏は、昨秋の大統領選の演説で「掘れベイビー、掘りまくれ」を掛け声にした。

一部報道で世界保健機関(WHO)からの脱退や関与縮小も取り沙汰される。WHOは新型コロナウイルス禍対応の国際連携で、重要な役割を担っただけに、実行すれば世界の保健衛生対策への影響は大きい。

トランプ氏が第2次政権で大統領権限を最大限に活用するのは、立法を通じた政策遂行の場合、議会の根回しや折衝に時間がかかるためだ。ただ、議会は大統領令を無効にできるほか、大統領令に基づく政策は、立法を通じた施策に比べると動員できる予算や人員に制約もあり、限界が指摘される。

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