米鉄鋼大手クリフス、USスチールの資産取得に意欲 日鉄買収破談の場合

【ワシントン＝坂本一之】日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り、同業のクリーブランド・クリフスは6日までに、USスチールの資産取得に意欲を示す声明を発表した。欧米メディアによると、バイデン大統領は買収阻止に向けた最終調整を進めている。買収計画が破談した場合、USスチールが工場閉鎖や本社移転を実施する可能性が報じられていた。

クリフスのゴンカルベス最高経営責任者（CEO）は声明で、USスチールが工場などの閉鎖判断をした場合には「買収して投資する用意がある」と述べた。「雇用を保護する」との姿勢を示した。

また、安全保障上の懸念から買収を阻止するバイデン氏の判断を支持するとし、「米鉄鋼業は国家の安全保障上、極めて重要な役割を果たしている」と強調した。

USスチールのブリットCEOは米メディアのインタビューで、日鉄との買収がまとまらなかった際には東部ペンシルベニア州にある工場の閉鎖や本社移転に踏み切る可能性に言及していた。

中西部オハイオ州に拠点を置くクリフスは昨年、USスチールを総額70億ドル（約1兆円）余りで買収することを提案したが、USスチールは141億ドルを提示した日鉄を選んだ。