インド外相、中国を刺激しないよう慎重発言 国境問題に「２国間で解決」 日米豪と一線

インドのジャイシャンカル外相は２９日、日米豪印の協力枠組み「クアッド」外相会合後、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見した。クアッドの海洋安全保障での協力について「軍事演習ではなく、グローバルな海洋領域の観点から航行の安全確保などでいかに協力するかを扱うものだ」と述べ、領土問題を抱える中国を刺激しないよう慎重な発言を繰り返した。非同盟主義のインドとしては、同盟・同志国関係にある日米豪と一線を画した形だ。

一方で、中印関係が国境問題を巡り悪化していることについては、率直に認めながらも「問題はインドと中国の２国間で解決する必要があるものだということを中国側と明確にしている」と述べ、クアッドとの協力とは切り離して臨んでいることを強調した。

伝統的な友好関係にあるロシアによるウクライナ侵略に関しては、インドはこれまでロシアを非難する先進７カ国（Ｇ７）などの訴えに加わっていないが、紛争は「対話と外交に戻らなければならない。ロシアとウクライナ双方と話している国はそう多くなく、インドはこの点でより活動的になれると思う」と述べた。（岩田智雄）