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深刻化する運転手不足、インドから人材を連れてこれるか 外国人に頼る期待と課題 世界行動学

産経ニュース / 2024年7月24日 7時0分

人手不足の折、タクシーやバス、トラックなどの運転手も足りない。政府は今年、外国人を中長期的に受け入れる「特定技能制度」の対象に自動車運送業を追加した。

そこで話題に上るのが、人口ボーナスで潤うインドだ。日本では、インドからの人材獲得やインドへの企業進出に関するセミナーが盛んに開催されている。神奈川県などが先月、横浜市で開いた「インドビジネスセミナー」もその一つだ。

コンサルティングを手がける企業「サンウェル」(横浜市)の渡辺千晶さんは講演後、「日本ではドライバーが足りないので、インドで育成できないかという話をいただいている」と話す。

なぜインドなのかというと「技能実習生は今までベトナムやタイ、カンボジア、ミャンマーなど東南アジアが多かったが、国を出られる人はもう出てしまっている。また、日本の給料はそれほどよくないので、あまり魅力的ではない。新しい親日的な国を開拓するとなると、〝王者〟としてのインドになる」という。

だが、そう簡単に外国人運転手が見つかるのか。筆者の体験からすると、疑問が残る。

ニューデリーやバンコクに駐在していた時、何らかの都合で新しい運転手を雇うことになると、トラブルに見舞われることが少なくなかったからだ。

遅刻常習犯もいれば、無断早退する者もいる。私用で車を乗り回されたこともある。運転手を何度も交代させてようやく満足のいく人材に出会えるのだ。

こうした人材獲得セミナーで、企業の方に、優秀な外国人材は見つかるのかと聞いてみることがある。これらの業種は、先行して受け入れが始まっている介護や建設などが多いが、意外にも答えは「日本人の若者より優秀かもしれない」といった声が多い。筆者の体験とはギャップがある。

理由は、こうした優秀な人材は現地で日本語教育や仕事のトレーニングを受け、選ばれてから日本にくることが多いからだろう。では、今後運転手もインドで見つけることはできるのだろうか。

おそらく限られた人数であれば、可能だろう。しかし、頼りすぎると、人材の質は落ちていく。昨今の日本での外国人犯罪がそれを示している。

そう書くとインドを悪く言っているようなので、一つ付け加えておきたい。日本では、最近、運転手不足に対応するため、ライドシェアの導入が始まったが、インドでは配車アプリを使ったライドシェアは10年以上も前に始まっている。

当時、タクシー業界は反発し、身元がはっきりしない運転手による車内での犯罪が起きるのではないかといった議論が沸き上がったが、ライドシェアは課題を解決しながらすっかり軌道に乗り、最近では電気自動車(EV)を使った事業が盛んだ。日本よりずっと進んでいる。外国人材に頼るのは仕方ないにしても、ほかにもやらなければならないことは、たくさんある。

(インド太平洋特派員 岩田智雄)

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