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中国による侵攻を想定、台湾で大規模軍事演習始まる 「脅威増大」で実戦化へ変革

産経ニュース / 2024年7月22日 14時44分

取材に応じる台湾の政府系シンクタンク「国防安全研究院」の沈明室・国家安全研究所長=18日、台北市(西見由章撮影)

【台北=西見由章】中国による軍事侵攻を想定した台湾の大規模年次演習「漢光」の実動演習が22日、台湾各地で始まった。パフォーマンス性の強い射撃演習などを大幅に減らし、実際の戦闘に各部隊が対応できるかどうかを検証する「実戦化」に踏み切る。台湾の軍事専門家によると、中国による侵攻の脅威増大が変革の背景にある。演習は26日まで。

漢光は今年で40回目。国防部(国防省に相当)によると、今年から事前のシナリオに基づく「実演」的な演習を削減。各部隊と軍中枢間の通信が断絶した状況を想定し、現場の指揮官が交戦規定に基づいて独自に作戦を遂行する「分散型指揮統制」能力を検証する。演習は深夜・早朝も含めて24時間体制で行う。

さらに従来、仮想敵の中国軍に扮(ふん)(ふん)していた陸軍の空挺(くうてい)(くうてい)部隊や海軍陸戦隊(海兵隊)を、本来の防衛任務に戻す。

国防部系シンクタンク「国防安全研究院」の沈明室国家安全研究所長は、演習項目の改革の背景について、ロシアによるウクライナ侵略により独裁国の侵略が起こり得ると証明されたことと、中国の習近平国家主席が「台湾問題の解決」を強調し、人民解放軍に侵攻の準備を整えるよう要求していることを挙げる。「もし今、明日、来年に戦争が起きた場合、台湾は防衛作戦の準備ができているのか検証するのが今回の演習の目的だ」と述べた。

演習を「シナリオなし」としている点については「現場の部隊に何時何分にどこで何をせよと事前に指示するのではなく、随時、敵軍の動きや状況を知らせて任務にあたらせる。実際にシナリオはあるが、部隊への『ネタバレ』がないということだ」と説明した。

「分散型指揮統制」について沈氏は「戦争では指揮命令系統の寸断が起こりうる。こうした状況下で現場の部隊長らが敵軍の攻撃に直面した際、軍上層部に指示を仰がずに独立して作戦を遂行できるかを検証する」と解説した。

漢光演習は22日、中国軍による緒戦のミサイル攻撃を想定して、軍用機を東部、花蓮の佳山空軍基地にある山中の格納庫に退避させるなどの「戦力温存」を実施。一般市民を対象とする防空演習「万安」も同日始まった。23日には佳山基地の滑走路で突貫修繕工事の訓練を行うほか、台北・松山空港では中国軍空挺部隊の急襲を想定した対空挺作戦を実施する。24日には離島、澎湖諸島での対着上陸作戦などが予定されている。

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