「反日プロパガンダ本だ」 米『日本のホロコースト』にブルガリアのジャーナリストが指摘
産経ニュース / 2025年1月27日 12時46分
旧日本軍がアジア・太平洋地域で3千万人を虐殺したと主張する書籍『Japan’s Holocaust』(日本のホロコースト)を巡り、内容を検証する民間有志の「戦争プロパガンダ研究会」が26日、東京都文京区で勉強会を開いた。ブルガリア出身でカナダ在住のジャーナリスト、ミロスラフ・マリノフ氏が講演し、「日本は、国の評判を失墜させることを狙った悪質なキャンペーンの標的となっている」と指摘し、「日本政府が立場を表明し、謝罪をやめ、国民の尊厳を守るときが来ている」と訴えた。
「国に対するヘイトスピーチ」
『日本のホロコースト』は昨年3月に米国で発刊された。米国の歴史学者を自称するブライアン・マーク・リグ氏が、日本軍が1927年~45年にアジア・太平洋地域で行った「残虐行為」をまとめたというものだ。史実に裏付けのない内容が列挙されているとの指摘が多く、近現代史研究家の阿羅健一氏らが「『日本のホロコースト』をもとに新たな捏造が生まれるかもしれない」(阿羅氏)と考え、研究会を立ち上げた。
研究会は今回が6回目で、同書の記述の不確かさを指摘してきた。約20人の国内外の有識者を中心に『日本のホロコースト』に対する反論本の刊行を予定している。
マリノフ氏は、同書は日本軍の兵士について「多くは機会があれば殺人や性的暴行に参加し、楽しんでいるように見える」などと表現していることなどを挙げて「日本人を誹謗中傷する反日プロパガンダ本に位置づけられる。欧州やカナダでは国全体に対する『ヘイトスピーチ』とみなされる」と訴えた。
ホロコーストの定義に当てはまらない
マリノフ氏は、1919年のパリ講和会議で日本が人種差別撤廃を提案し、同盟国のドイツが掲げた反ユダヤ主義を共有しなかったことなどを挙げて「日本は人種的優越を推進したわけではない」と指摘した。「中国での日本軍の行為はホロコーストの定義に当てはまらない。日本はユダヤ人にも中国人にも人種的憎悪を公言しなかった」とも強調した。
勉強会では、米海兵隊出身で歴史研究家のマックス・フォン・シュラー氏も登壇し、先の戦争時の米軍に関し、日本空襲を挙げて「目標は軍の工場ではなく、目標は日本人絶滅だった」と非難した。
「戦争自体はひどい。戦場は普通の世界と違い、軍隊経験のない人は理解できない」と述べ、「日本は米国よりも戦争の時に道徳があった。真珠湾攻撃も米国の軍港に攻撃し、普通の市民を殺すことを禁止していた」とも語った。(奥原慎平)
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