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中国、異例のICBM実験公表 対米牽制の意図鮮明に ミサイル、太平洋着弾も

産経ニュース / 2024年9月25日 15時34分

中国国防省は25日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を発射し、太平洋の予定海域に落下したと発表した。中国が弾道ミサイル実験の実施を公表すること自体が極めて異例。中国のミサイル実験は最近では主に広大な国土を利用して国内で行われており、太平洋に着弾させるのも珍しい。台湾情勢を巡って対立する米国を強く牽制(けんせい)する狙いがある。

米本土全体を射程

香港の中国文化研究院のサイトによると、中国は1980年5月、初のICBMとなる「東風(DF)5」の発射実験に成功した。実験の予定は事前に国営新華社通信を通じて発表された。

DF5は北西部・甘粛省酒泉から発射され、9070キロを飛翔(ひしょう)し、太平洋の公海上の予定海域に着弾した。DF5は液体燃料型のサイロ固定式ミサイルで、米戦略国際問題研究所(CSIS)によると、射程は1万3000キロ。これにより、中国は旧ソ連の欧州部と米本土への核攻撃能力を獲得した。

ただ、サイロ式のICBMは位置が特定されるため、特に精度の高い米国の先制核攻撃には脆弱(ぜいじゃく)だ。このため、中国は2006年以降、車両移動式で固体燃料型のDF31の配備を開始。CISCによると、DF31は射程7000キロから1万1700キロで現在、改良型のDF31AGが米本土全体を射程に収めているとみられる。

DF31はAG型を除き核弾頭は1発しか搭載できない。単弾頭のミサイルは、米国がアラスカなどに配備する地上配備型弾道ミサイル迎撃ミサイル(GBI)で迎撃される確率が高まる。

多弾頭搭載を想定

中国はDF31の後継となるDF41の発射実験を12年7月に初めて実施した。DF41は複数の核弾頭が個別に大気圏に再突入するため、ミサイル防衛を突破しやすいとされるMIRV(多弾頭独立目標再突入体)の搭載を想定している。CSISによると17年までに7回の実験が行われた。2回目の実験では、中国北部・山西省から発射され、西部に着弾したことが確認されているという。

米国防総省の昨年度の報告書は、中国はDF41を2個旅団まで配備済みとしているが、CSISは現在も開発中だと分析している。このため、今回の実験は、DF41の可能性がある。

国内で実験を行う理由には、周辺国への刺激を避ける狙いや、ミサイルの能力を探知されることを防ぐ思惑がある。

中国は20年8月、米空母の攻撃を想定した対艦弾道ミサイルDF21Dや米領グアムを射程に収めるDF26とみられる弾道ミサイル4発を南シナ海に着弾させたことが、米国発の情報で明らかになっている。今回は米国を射程に収めるICBMであることを自ら公表し、太平洋に着弾させていることから、米国を牽制する意図は極めて明確だといえる。(田中靖人)

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