台湾「第3勢力」の柯文哲氏が党首を辞任 収賄などで起訴、民衆党の党勢に打撃
産経ニュース / 2025年1月1日 20時8分
【台北=西見由章】収賄などの罪で起訴された台湾の第2野党、台湾民衆党の柯文哲主席(党首)は1日、党の拡大中央委員会議で辞任を申し出て了承された。立法院(国会に相当、定数113)で8議席を有しキャスチングボートを握る「第3勢力」の民衆党は、党創設者の柯氏が党首辞任に追い込まれたことで大きな転換点を迎えた。
民衆党中央委員の江和樹・台中市議が記者団に明らかにした。中央委員たちは慰留したが、柯氏は聞き入れなかったという。党の代理主席には立法委員(国会議員)団トップの黄国昌氏が選出された。
著名な外科医だった柯氏は2014年の台北市長選に無所属で出馬して当選し、22年まで2期務めた。「政治の素人」を標榜(ひょうぼう)し、辛辣(しんらつ)な話術と親しみやすいキャラクターで人気を集めた。
柯氏が19年に創設した民衆党は、既存政党の与党、民主進歩党と最大野党、中国国民党の旧態依然とした政治対立を嫌い、格差社会に不満を抱く若年層の受け皿になった。昨年1月の総統選に出馬した柯氏は若者の支持を集め、3位ながら得票率は26・5%に達した。
しかし台北市長時代の商業ビル開発を巡る汚職容疑で同8月末に逮捕され、収賄などの罪で12月下旬に起訴された。台北地方法院(地裁)は保釈を認め、差し戻し審でも保釈保証金を上乗せした上で再び保釈を認めたが、検察側は再抗告している。
柯氏と民衆党は検察側の捜査を「政治迫害だ」と批判して潔白を主張しており、法廷闘争は長期化する見通しだ。また立法院で保持する8議席はいずれも比例代表選出で、立法委員が離党しても党候補者が繰り上げ当選となるため、民衆党がキャスチングボートを握る構図は28年の次期立法委員選まで続く可能性が高い。ただ柯氏はクリーンなイメージが売りで、民衆党は柯氏の「個人政党」としての側面も強く、一連の汚職事件は党勢に大きな打撃を与えそうだ。
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