「台湾の国連参加で地域の平和は守られる」 林佳竜・台湾外交部長が寄稿
産経ニュース / 2024年9月9日 17時14分
台湾の林佳竜外交部長(外相に相当)が、国連総会の新会期が10日に始まるのを前に産経新聞に寄稿した。中国が1971年の国連総会決議2758号(アルバニア決議)について、「台湾は中国の一部だと認めたものだ」と主張しているのは「曲解」だとして「正確な解釈」を要求。これに基づき国連と関連機関への台湾の参加を認めるよう訴えた。詳細は以下の通り。
◇
台湾は世界の半導体サプライチェーン(供給網)に不可欠なパートナーで、台湾海峡は重要な国際航路である。世界は台湾海峡の平和と安定によってもたらされる繁栄を享受しているが、中国は台湾への挑発行為をますます強化している。中国による台湾海峡の現状の一方的な変更とインド太平洋地域での権威主義の拡張は、世界の平和と安全に深刻な脅威をもたらしている。
近年、世界の政治指導者はさまざまな国際会合で台湾海峡の平和と安定を守る重要性を強調している。しかし、国連は中国が引き起こした挑戦に対して具体的な対処をせず、台湾を国連システムに組み入れることもしていない。国際社会は現在、台湾と交流する新しい方法を見つけ出しており、国連システムの中で中国か台湾かの選択を迫る古い考え方はすでに誤った二分法となっている。今こそ国連は変わるべきであり、台湾を排除するこの不公平な政策を見直すときだ。
国連は、中国の圧力に屈すること、1971年に可決された国連総会第2758号決議(アルバニア決議)の曲解をやめるべきだ。中国は悪意をもって決議を捻じ曲げて「一つの中国」原則と不当に結び付け、国連および関連機関への台湾の意義ある参加に対して横暴な圧力をかけている。実際には、中華人民共和国の「一つの中国」原則と世界の多数の国々が採用している「一つの中国」政策はまったく異なる。
中国は決議を武器化し、「台湾は中国の一部」というでたらめを拡散しているが、これは中国が将来、台湾に武力侵攻する法的基礎を構築するたくらみの一環だ。だが、実際の決議は、国連における中国の代表権問題を処理しただけで、台湾に触れていない。台湾が中華人民共和国の一部だとも言及しておらず、中華人民共和国に国連システムにおける台湾の代表権を与えたものでもない。つまり、同決議は台湾とは関係がない。
もし中国の決議の曲解を修正しなければ、台湾海峡の現状が変えられ、さらにはインド太平洋地域の平和と安定やルールに基づく国際秩序への脅威となりかねない。
国連憲章に掲げられている国際の平和と安全を守るために、国連は決議の正確な解釈に立ち戻り、中国の挑発的な野心を抑制する方法を考えていくべきだ。
中国の拡張主義は台湾にとどまらない。世界の平和と経済の安定を守るため、国連と国際社会は中国の脅迫行為に対して重ねて懸念を申し入れ、このような不法行為を共に防止していかなければならない。
国連システムは国際協力を推進するための最も重要な論壇として、地域の安全保障への挑戦に対処し、世界の経済安定を支えていくべきだ。まもなく開催される国連総会と「未来サミット」は絶好の機会だ。
過去数十年間、台湾は責任あるパートナーであることを証明してきており、SDGs(持続可能な開発目標)の実現にも寄与している。台湾は引き続き、共通の理念を持つ国々と協力しながら、半導体産業を通じて健全かつ強靱性のある世界のサプライチェーンを全力で構築し、全世界の前進のために協力を続けていく。
より安全でより良い世界のために、国連システムに台湾を組み入れることが必要だ。
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