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中国は対抗措置で揺さぶり、EUには苦い過去 EV追加関税巡り神経戦

産経ニュース / 2024年6月24日 19時2分

【北京=三塚聖平、パリ=板東和正】中国と欧州連合(EU)は24日までに、EUが打ち出した中国製電気自動車(EV)への追加関税に関する協議に入った。中国はEUからの輸入豚肉への関税引き上げをちらつかせるなど徹底抗戦の構えで、翻意を促そうとしている。打開策を見いだせなければ「貿易戦争」突入が必至なため、双方が神経戦を展開している。

協議開始には、中国の王文濤(おう・ぶんとう)商務相とEU欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長が22日のオンライン会談で合意した。欧州委は今月12日、中国製EVに最大38・1%の追加関税を課す方針を発表。中国との協議が不調に終われば7月4日から実施する予定だ。

中国「貿易戦争起こす」と警告

中国側では商務省が17日、EU産豚肉と関連製品のダンピング(不当廉売)に関する調査に着手。明言していないが、対抗措置の一環であるのは明白で、関税引き上げなどの措置をとる可能性がある。中国側はEUから輸入するブランデーや大型エンジン搭載のガソリン車への関税引き上げも示唆している。

商務省は21日発表の報道官談話で「EUは貿易摩擦を絶えず激化させており、『貿易戦争』を引き起こす恐れもある」と警告。一歩も引かない姿勢を示した。

欧州メディアによると、中国が昨年輸入した豚肉のうち半分以上がスペインを中心としたEU産。中国の輸入ブランデーは約99%をフランス産が占める。ガソリン車はドイツやイタリアへの打撃が大きいとみられる。中国はEU主要加盟国の重要輸出品を標的にして揺さぶっているとの見方も出ており、中国側の報復は「EUにとり恐ろしい痛手」(専門家)だ。

関税引き上げによる対抗は、巨大な市場を持つ中国の常套(じょうとう)手段だ。20年にオーストラリアのモリソン前政権が新型コロナウイルスの発生源の第三者による調査を求めた際には、事実上の報復として豪州産ワインに高関税を設定。アルバニージー現政権が関係改善に動いたことで、今年春に制裁関税は解除された。

ドイツ、中国に同調する考え

EU側では、ドイツのハーベック経済相が22日、中国訪問中に高官と会談し、「(追加関税は)懲罰的な関税ではない」と説明。対話による問題解決を求める中国に同調する考えを示した。

ただ、EU側には中国に妥協したことによる苦い経験がある。2013年、EUは中国製太陽光パネルに反ダンピング課税をかけようとしたが、中国が報復を表明し、EUは価格交渉を受け入れた。最大の貿易相手である中国との協調を重視した当時のドイツのメルケル首相が対立激化の回避に動いたためだった。

ただ、課税導入を見送った結果、太陽光パネルの値下がりが止まらず、EUの一部パネルメーカーが経営危機に陥った。EU側では近年、中国への警戒が高まっていることもあり、今のところ安易に軟化する姿勢はみられない。

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