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台湾東部沖地震3カ月 花蓮の太魯閣渓谷、年末に一部再開も…観光復興の道のり長く

産経ニュース / 2024年7月3日 17時6分

商店のシャッターが閉まったままの景勝地、太魯閣渓谷の入り口=6月28日、台湾・花蓮県(西見由章撮影)

死者18人、行方不明者3人を出した台湾東部沖地震の発生から3日で3カ月を迎えた。被災地の東部、花蓮県では景勝地の太魯閣(タロコ)渓谷が閉鎖され、主要産業の観光が大きな打撃を受けている。年末には渓谷の一部が再開放される見通しで、客足に回復の兆しもあるが、復興の道のりは長そうだ。

GDP6割が観光関連

6月下旬、太魯閣渓谷の入り口を訪れると、観光客向け商店は軒並みシャッターが下りていた。茶葉店を営む劉美鳳(りゅうびほう)さん(48)は「ここは先住民の装飾品や(軽食の)トウモロコシなどを売る店があったけど、みな出ていった。客が来ないから仕方ない」とあきらめ顔だ。

人影がほとんどない中、切り立つ断崖絶壁を眺めていたのは夫と新婚旅行中のフィリピン人、ディナさん(33)。「渓谷の中に入れず残念だけど景色は楽しめた。再開されたらまた来たい」と話した。

渓谷の内部は、山上から崩れ落ちた土砂が歩道を埋めたままの場所もあり、地震の爪痕が生々しく残る。

観光客向けチャーター車運転手の郝坤城(かくこんじょう)さん(46)は「地震後は次々と予約が取り消され、毎日が休みだった。ただ5月以降は海岸などを訪れる客が少しずつ増えてきた」と前を向く。

花蓮県ではホテルや飲食店といった観光関連の産業が域内総生産(GDP)の6割を占める。その〝大黒柱〟である太魯閣渓谷について、県政府(県庁)観光企画課の黄繻寛(こうしゅかん)課長は、12月にも一部エリアが再開放されるとの見通しを明らかにした。ただ完全復旧には7年かかるとの予測もあるという。

交通の便がネックに

花蓮のホテルや旅館の稼働率は地震直後、1割前後に落ち込んだが、6月は3割まで回復。県政府は宿泊予約サイト「アゴダ」と提携し、外国人客向けに最大30ドル(約4800円)を補助するなど多くの支援策を打ち出している。花蓮には美しい海岸もあり、黄課長は「太魯閣以外の魅力を発信したい」と力を込める。

一方、観光業の復興に向けてネックとなっているのが交通の便の悪さだ。台北と花蓮を結ぶ幹線道路の一部区間は、地震による橋の崩落などの影響で車両の通行制限が続く。花蓮最大規模のホテル「美侖(びりん)大飯店」のマネジャー、南宇澤さんは「観光客が花蓮への旅行を躊躇する主な理由は交通上の問題。解決には時間がかかる」と楽観していない。

17棟を強制取り壊し

県政府によると、被災建物のうち安全性に問題があると判断されたのは198棟に上り、うち17棟が強制的に取り壊された。転居に伴う家賃補助の申請は1千件を超えている。

地震で大きく傾き住民1人が死亡した9階建てマンション「天王星ビル」は4月17日に取り壊しが完了。現在、跡地は舗装されて更地になっていた。一方、近隣のホテルは1階部分に倒壊防止用の支柱が設置され、周囲に立ち入り禁止のテープが張られたままだ。

県政府幹部の廖(りょう)南貴秘書は「地震の影響で失業、休業している人もいる。花蓮の復興は緒に就いたばかりだ」と話した。(花蓮 西見由章)

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