中国・深圳の日本人学校が約1カ月ぶり登校再開 バスや車での登校など安全対策強化
産経ニュース / 2024年10月14日 12時45分
【北京=三塚聖平】中国南部、広東省深圳(しんせん)市で9月に日本人男子児童(10)が刺殺された事件で、男児が通っていた深圳日本人学校は14日、約1カ月ぶりに登校を再開した。現地の外交筋によると、男児が徒歩で登校中に被害に遭っていたことから、全ての児童・生徒がバスや車で登校する態勢を整えるなど安全対策を強化した。
被害に遭った男児は、9月18日朝に保護者と登校中に日本人学校から約200メートル離れた歩道で男に刃物で腹部などを刺された。近くの病院に運ばれて手術を受けたが翌日未明に死亡が確認された。深圳日本人学校は事件後、臨時休校を経てオンライン形式で授業を行っていた。
登校再開に合わせ、学校と広東省広州市の日本総領事館が連携し、バス通学者が利用するバス車内のほか、バス停にも警備員を配置するといった安全対策の強化を進めた。スクールカウンセラーによる心のケアも行っている。また、不安を訴える児童・生徒らのために、オンラインでも授業を受けられる仕組みを併用している。
日本政府は事件後、中国国内の日本人学校12校の警備を強化するため外務省予算から緊急に約4300万円を充てると表明している。
深圳の刺殺事件では容疑者の男(44)が現場で取り押さえられて当局による取り調べを受けている。中国政府は「偶発的な事件」だとして、日本側が求める動機や背景の説明に応じていない。外交筋によると、中国当局は追加の情報提供には応じていないという。動機など詳細が分からなければ安全対策の立案にも支障が生じるため、中国側に引き続き情報提供を求める。
石破茂首相は今月10日、ラオスの首都ビエンチャンで中国の李強首相と初めて会談した際に、深圳の日本人男児刺殺事件と、6月に江蘇省蘇州市で日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子が切り付けられて負傷した事件に関し、事実解明と中国在留邦人の安全の確保を強く求めている。
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