中国、「反分裂法」違反などで台湾人15人拘束 最高刑は死刑の指針で台湾警戒
産経ニュース / 2024年7月1日 13時14分
【台北=西見由章】「台湾独立」の動きを違法とする「反国家分裂法」に違反したなどとして、中国当局に拘束された台湾人が少なくとも15人に上ることが分かった。台湾の当局者が1日までに明らかにした。中国は「台湾独立派」に最高刑として死刑を適用するとの処罰指針を6月下旬に公表しており、台湾当局は台湾人を標的とした拘束の増加を懸念。中国が影響力を持つ第三国においても台湾人が政治的理由で拘束される恐れがあるとみて警戒を高めている。
当局者によると、15人が拘束された時期は「ここ数年」で、国家政権転覆罪で5年間投獄された後に台湾に戻った人権活動家の李明哲氏も含まれる。
この当局者は、中国が公表した指針について、「台湾独立派」の定義があいまいで「台湾人のほとんどが含まれることになる」と指摘。さらに対象は台湾人に限らず、台湾の国際的地位の向上や防衛力強化を支持している外国人にも拘束のリスクがあるとの見方を示した。
また中国本土や香港、マカオ以外に滞在する場合も、中国と犯罪人引き渡し条約を結んでいる国や、中国が「海外警察拠点」を設置している国では拘束される恐れがあると指摘。「とりわけ中国経済への依存度が高く、『一つの中国』原則の順守を公表している国ではリスクが高い」(同当局者)としている。
中国側の指針公表を受けて、台湾で対中政策を主管する大陸委員会は6月27日、中国本土や香港、マカオへの渡航警戒レベルについて、4段階のうち2番目に厳しいレベルに一段階引き上げた。「不必要な渡航は避けるよう強く勧める」と警告している。
中国は2005年に「反国家分裂法」を施行したほか、14年に反スパイ法(23年に改正)、15年に国家安全法を施行するなど外国人や台湾人への監視を強化。15年以降、スパイ行為に関与したなどとして拘束された日本人は少なくとも17人に上る。
21年に中国当局が発表した国勢調査の結果によると、中国本土に長期滞在している台湾人は約15万8000人。
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