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2025年の中国経済は「内憂=内需低迷」「外患=貿易戦争」 輸出先変更で新たな摩擦も

産経ニュース / 2025年1月1日 11時0分

北京市の繁華街、三里屯。中国経済を巡っては消費不振など内需低迷が続いている=12月22日(三塚聖平撮影)

2025年の行方を占う上で注目されるのが世界2位の規模を誇る中国経済の動向だ。中国経済は不動産不況を背景とした内需低迷という〝内憂〟で失速したが、25年にはトランプ次期米政権との貿易戦争という〝外患〟も見込まれている。中国共産党指導部は景気対策の強化方針を決めるなど臨戦態勢を示しているが、経済安定への道のりは険しい。

北京市中心部の商業施設の一角で「全商品1割引きから」「低価格」「節約」などと書かれた小売店が若者や子連れの来店客でにぎわっている。賞味期限間近といった訳あり商品などを相場よりも低価格で販売する格安スーパー「HitGoo」だ。中国メディアによると、21年の設立後、猛スピードで出店を続けて今では500店に迫る。「低価格を求める若者がターゲット」という。中国各地では今、格安スーパーが出店競争を繰り広げている。

中国経済の病巣ともされるのが内需低迷だ。

新型コロナウイルス禍が終わってからも思うように回復が進まず、デフレ懸念が今もくすぶる。厳格な行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策が長期化したため、中小・零細企業が倒産して若年層を中心に雇用・所得環境が悪化した。さらに不動産価格の下落が消費を冷やす「逆資産効果」も重なって消費不振が続いている。不動産や教育といった産業が中国当局の統制強化で打撃を受けたことで設備投資も振るわない。

国内総生産(GDP)は24年1~3月に前年同期比5・3%増、4~6月に4・7%増、7~9月に4・6%増と減速してきた。

中国経済にとって泣き面に蜂となるのが、1月20日に発足する第2次トランプ政権だ。トランプ次期大統領は大統領選期間中、中国製品に60%の追加関税を課すと公言していた。実行に移されれば中国経済を支える輸出が打撃を受けることになり、内外企業が工場を中国外に移すといった事態も想定される。

習近平国家主席は12月31日、新年を迎えるにあたって恒例のテレビ演説を行い、中国経済に関して「外部環境の不確実性」といった課題に直面していると述べた。具体的には説明しなかったがトランプ政権の対中圧力が念頭にあるとみられる。

中国共産党と政府は財政出動の拡大と金融緩和で内外の「困難」に対処する構えだ。「国内需要の拡大」にも重点を置くが、具体策は3月の全国人民代表大会(全人代)まで待つ必要がある。全人代では25年の経済成長率目標も示される見通しで、24年と同じ「5%前後」が維持されるとエコノミストはみているが、達成の難易度は増しそうだ。

内需回復がうまくいかないまま本格的な貿易戦争に突入すれば、中国企業は関係が安定しているグローバルサウス(南半球を中心とする新興・途上国)に輸出先を切り替えるとみられる。ただ、相手国にとっては国内産業への打撃となりかねず、貿易摩擦の前線がグローバルサウスにも拡大する可能性がある。(北京 三塚聖平)

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