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香港 外国人裁判官が半減 国安法施行を境に 弁護士「法の支配は消え去った」

産経ニュース / 2024年6月24日 17時16分

取材に応じる香港人弁護士の桑普氏=台北市(西見由章撮影)

【台北=西見由章】香港終審法院(最高裁)の非常任裁判官を務めてきた外国籍の3人が今月、相次いで退任を表明した。中国返還後も香港が司法の独立と「法の支配」を維持していく象徴だった外国人裁判官は、2020年の香港国家安全維持法(国安法)施行を境に半減。台湾在住の香港人弁護士は「香港で法の支配は消え去った」と断じ、外国企業による投資を支えてきた司法制度が崩壊したと指摘した。

英国籍2人の辞任を発表

香港政府は今月6日、終審法院の非常任裁判官を務める英国籍2人の辞任を発表した。このうちジョナサン・サンプション氏は10日、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)への寄稿で「香港の法の支配は重大な危機にある」と主張。多くの裁判官が「政治的な空気」を恐れ、「自由の擁護者という伝統的な役割を見失っている」と訴えた。かつては活気に満ちて政治的多様性も存在した香港が「徐々に全体主義国家になりつつある」と非難した。

このほか元カナダ最高裁長官の非常任裁判官、ベバリー・マクラクリン氏も10日、任期が切れる7月末での退任を公表した。19年時点で終審法院に15人在籍していた海外の裁判官は、同氏の退任で7人に減る。

1984年、香港の中国返還を定めた「英中共同声明」は香港の高度な自治と司法の独立を保障。その付属文書は、中国返還後に香港の終審裁判所が英国や香港と同じ法体系「コモンロー」に属する地域の裁判官を招聘(しょうへい)できると規定した。

「法はただの統治の道具に」

香港の外国人裁判官について、台湾に在住する香港人の人権派弁護士、桑普氏は「返還後の法治の風向計としての役割が期待されていた。外国人裁判官が香港を離れ始めたとき、(コモンローは)破壊された」と指摘する。

コモンローの根幹的な概念「法の支配」について、桑氏は「いかなる人も法の前に平等であり、法は超然とした地位にあるとする考え方だ。しかし現在の香港では、法はただの統治の道具になり下がった」とした上で、「法の支配は国安法の施行だけで一気に崩壊したわけではない。中国共産党は非常に長い時間をかけて少しずつ香港への弾圧を強め、状況が悪化していった」と分析した。

香港における法の支配は外国企業が安心して投資できる環境を提供していた。桑氏は「今後、ますます多くの企業が香港への投資を選択しなくなるだろう。しかし中国共産党にとって最も重要なのは金ではなく権力維持だ」と語った。

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