ウクライナ正念場、戦線崩壊の危機 支援国に高まる停戦論 侵略1000日
産経ニュース / 2024年11月19日 8時58分
ロシアによるウクライナ侵略は19日、2022年2月24日の開始から1千日の節目を迎えた。主戦場のウクライナ東部では露軍の攻勢が続き、ウクライナ軍の防衛線は崩壊の危機に瀕(ひん)している。支援国内には戦場でのウクライナの勝利は困難だとの見方が強まり、全面敗北を避けるために停戦を促そうとする動きが徐々に広がりつつあるもようだ。ウクライナは正念場を迎えている。
米の長距離兵器攻撃容認遅く
ウクライナ軍は昨年6月に大規模反攻に着手したものの、目立った戦果を出せずに損耗した。昨年秋からは米議会で予算協議が紛糾し、米国の軍事支援が約半年間にわたり停止。ウクライナは武器・弾薬不足に陥った。
露軍はこの隙を突く形で昨年冬~今年春、全域の掌握を狙う東部ドネツク州でウクライナ軍の拠点を相次いで制圧。現在もポクロフスクやトレツク、チャソフヤル方面などで攻勢を続けている。
これらの方面は同州の主要都市クラマトルスクやスラビャンスクを守るウクライナ軍の防衛線を構成している。ウクライナ軍も抗戦しているが、劣勢を強いられている。
ウクライナ軍は8月、露西部クルスク州への越境攻撃に着手し、露軍をドネツク州から引き離そうとした。だが、露軍は主力をドネツク州に残す一方、北朝鮮の朝鮮人民軍部隊をクルスク州に投入し、反撃を進める構えだ。
今月17日にはバイデン米政権がウクライナに供与した長射程兵器による露国内攻撃を認めたと報じられた。事実であれば、ウクライナは自国製兵器に頼ってきた露国内攻撃を強化できる。ただ、欧米側の専門家は「決定が遅い。ウクライナが不利な戦況を覆せるか疑問だ」と指摘した。
「領土割譲でも独立維持なら露の勝利阻止」
ウクライナ軍の劣勢が顕著化する中、支援国の立場にも変化が生じているもようだ。ドイツのショルツ首相が15日、プーチン露大統領と約2年ぶりに電話会談したこともそのことを示唆した。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは17日、米大統領選でウクライナ支援に否定的なトランプ次期大統領が勝利したことを受け、欧州各国は米国抜きでの支援継続の可能性を検討し始めたものの、「停戦は不可避だ」との意見が強まっていると報じた。欧州の複数の外交官が「ウクライナは仮に領土の一部を割譲したとしても、独立を維持できればロシアの勝利を阻止したといえる。それには早期停戦が最善だ」と話したとも伝えた。
(小野田雄一)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ゼレンスキー氏「ミサイルが自ら語るだろう」…米の長射程弾の承認報道受け、ロシアは反発し対抗措置へ
読売新聞 / 2024年11月18日 20時9分
-
バイデン大統領 長射程兵器露攻撃容認 北朝鮮参戦で方針転換 派兵停止圧力も
産経ニュース / 2024年11月18日 8時16分
-
ロシア軍猛攻、制圧地急拡大 甚大犠牲も、東部要衝迫る
共同通信 / 2024年11月15日 16時8分
-
ゼレンスキー氏「露軍が西部クルスク州に兵力5万人投入」 東部戦線で苦境続く
産経ニュース / 2024年11月12日 9時7分
-
ゼレンスキー氏、北朝鮮軍「損害受けている」と発言 ロシア西部クルスク州での戦闘で
産経ニュース / 2024年11月8日 9時50分
ランキング
-
1北朝鮮の欧州派兵は第2次朝鮮戦争の前哨戦? 韓国とロシアの最新兵器が砲火を交える日は遠くない
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月18日 19時34分
-
2レバノンとヒズボラ、イスラエルとの停戦案に条件付きで合意
ロイター / 2024年11月19日 7時24分
-
3「報復社会」検索が急増 中国で相次ぐ“無差別殺傷事件” 江蘇省の専門学校で21歳男が刃物で切りつけ 8人死亡17人けが
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月18日 18時41分
-
4香港の住民の3分の1以上が海外への移住を希望、最も多い動機は「悲惨な経済状況または悪化する経済の未来」 中国本土への移住も5分1の人が希望
NEWSポストセブン / 2024年11月19日 7時15分
-
5G20サミット初日の議論終える 米バイデン大統領不在のまま集合写真撮影も
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月19日 7時2分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください