トランプ氏の「GDP5%」拠出要求にバルト諸国は同調、西欧に圧力 欧州防衛サミット
産経ニュース / 2025年2月3日 21時25分
【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)は3日、ブリュッセルで安全保障をめぐる非公式首脳会合を開いた。英国のスターマー首相、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長も参加。トランプ米政権が欧州同盟国に「国内総生産(GDP)比5%」まで国防費の増額を求める中、対応を協議した。バルト諸国や東欧では、米国に同調する声が相次いでいる。
会議を前に、エストニアのミッハル首相はX(旧ツイッター)で、トランプ大統領の要求に「全面的に賛成だ。われわれはGDP比5%を目標にすべきだ」と発信した。リトアニアのナウセーダ大統領も「わが国は2030年までに5~6%にする」と表明。ポーランドのトゥスク首相もトランプ氏の要求を歓迎した。
一方、ドイツのショルツ首相は慎重だ。先月、年金や道路整備の財源を確保する必要があるとして、国防費はこれまでのNATOの目標に沿って「GDP比2%」が妥当だとした。フランスのマクロン大統領は国防演説で「フランスはGDPの2%を国防に拠出する。それで十分だろうか」と発言。増額に含みを持たせるにとどまった。
NATOの推計では、昨年、エストニアはGDP比3・4%、リトアニアは2・9%、ポーランドは4・1%を国防費に拠出。独仏は2%に達したばかりで、イタリアやベルギーは1・5%に満たない。米国のルビオ国務長官は最近のインタビューで、ポーランドやリトアニアの努力を評価し、「仏独など経済大国は十分に国防費を支出しない」と不満を示した。
3日の会議では、EU域内の防衛産業育成も課題となった。コスタEU大統領は開会を前に「必要な資金をどう確保するかを話し合う」と述べた。欧州委員会は、今後10年間で5千億ユーロ(約80兆円)の投資が必要だと試算している。
独仏伊や北欧、東欧の19カ国は会議を前に共同書簡を発表。欧州投資銀行(EIB)の防衛産業への融資規制を修正するよう求めた。EIBは弾薬や武器製造への融資を禁じてきた。書簡は規制を解禁すれば民間からも防衛産業に投資が呼び込めると訴えた。
EU加盟国の国防費は昨年、総額3260億ユーロ(約52兆円)。ロシアのウクライナ侵略前の21年比で3割以上増えた。ロシアのウクライナ侵略後、EUでは共通安全保障への動きが進む。昨年12月に新体制になった欧州委員会には防衛担当委員が新設され、リトアニアのクビリウス元首相が就任した。
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