フランス下院、続く主導権争い 連立なお見通せず 18日開会、内政停滞の危機
産経ニュース / 2024年7月17日 20時0分
【パリ=板東和正】フランスで国民議会(下院)総選挙を受けた各党の連立協議がなお難航している。どの勢力も過半数を獲得できず、マクロン大統領は自身の与党連合に有利な形での連立を模索しているが、第1勢力となった左派連合はマクロン氏陣営が主導権を握ろうとする動きに対して反発。新議会は18日に開会するが、内政停滞の危機が高まっている。
「勝者はいない。強固な安定多数を築こう!」
マクロン氏は10日に公表した書簡で、安定した大連立政権の樹立を各党に求めた。
下院選では今月7日の決選投票の結果、左派連合「新人民戦線」が最大勢力となり、与党連合は第2勢力、第1回投票で首位だった極右政党「国民連合(RN)」は第3勢力となった。ただ、いずれの勢力も過半数の289議席に届かず、マクロン氏は法案可決に必要な多数派の形成を目指している。
欧州メディアによるとマクロン氏が模索するのは、新人民戦線の切り崩しだ。構成政党のうち、社会党など比較的穏健な左派政党と協力し、与党連合と特に政策面で相いれない中核政党の急進左派「不屈のフランス」の排除を目指す。同時に中道右派の共和党も取り込みたい考えとされる。
ただ、不屈のフランスを率いるメランション氏は「敗北を受け入れろ」と主張し、マクロン氏主導の政権樹立を警戒。社会党も「マクロン氏の政策を受け継ぐ政権は組まない」との姿勢を崩していない。不屈のフランス抜きで左派と連携するのは難しそうだ。
多数派形成の見通しがたたないため、内政を担う新首相の指名も困難な状況。フランスでは、大統領が議会多数派の意向を踏まえて首相を指名する仕組みで、マクロン氏は連立の枠組みが定まるのを待って指名する考えとみられる。一方、各党の政策が微妙に異なる新人民戦線側も、マクロン氏に提案する首相候補を明確に一本化できていない。
マクロン氏は16日、与党連合の敗北後、慰留していたアタル首相の辞任を受理した。アタル内閣は暫定内閣として当面、職務を続けるが、権限は限られ、下院での法案提出などに支障が生じる可能性がある。
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