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祭典から仲間外れか パリ観光、五輪特需の期待空振り 警備強化や熱波に疲れ

産経ニュース / 2024年8月3日 18時29分

【パリ=板東和正】パリ五輪は7月26日の開会式から1週間が過ぎた。世界的観光名所で行われる競技を直接見ようと足を運んだ市民や観光客で会場は盛り上がっている。ただ、周辺の警備態勢強化や宿泊料金の高騰で観光需要は伸び悩んでいるようだ。熱波の影響も懸念されている。

8月1日に行われた陸上の競歩は、五輪マークが飾られたエッフェル塔周辺が舞台だった。米国から訪れた男性(42)は「観光と競技の観戦を同時に楽しめる。ぜいたくな体験だ」と満面の笑みを浮かべた。

パリ五輪は観光とスポーツの融合がテーマ。大会組織委員会のエスタンゲ会長は「フランスの宝物が戦いの舞台」と強調している。皇帝ナポレオンが眠るアンバリッド(廃兵院)前ではアーチェリー、世界遺産のベルサイユ宮殿では馬術が行われ、いずれも壮観な光景を一目見ようと多くの観戦客が訪れた。

7月31日には水質汚染で1世紀にわたり遊泳が禁止されていたセーヌ川などでトライアスロンが行われた。水質に不安は残るが、会場付近に集まった市民らはセーヌ川の〝復活〟に「五輪のレガシー(遺産)を残した」と歓喜に沸いた。

一方、競技会場と対照的に盛り上がりに欠くのが観光産業だ。パリでは五輪開幕直前、テロが起きる懸念などから観光客が敬遠する動きが加速。ホテルやレストランの経営者らは観戦客が押し寄せてくる開幕後に巻き返しを図ろうとしたが、期待は「空振りに終わっている」(専門家)。

パリ市のあるミシュランの星付きレストランのシェフは欧州メディアに7月の売り上げが例年に比べ約30%落ちたと明かした。五輪需要を予想して従業員を新たに雇用していたが、開幕後も客足は伸びず「お祭りから仲間外れにされた気分だ」とこぼした。

仏警察は開会式直前に発生した高速鉄道TGVへの破壊行為を受け、テロ対策を強化。警官らは競技会場付近を封鎖し、車などで通過できない道路が増えた。観光客が目的地に行けず、レストランの予約をキャンセルする事例が相次いでいる。

開幕直前、パリの宿泊施設の平均価格は昨年より70%近く高騰していた。一部ホテルが値下げで観光客を呼び込もうとし、平均価格は下落したが、1年前より割高なため、宿泊代を節約して日帰りする観戦客も目立つ。

さらにパリは熱波に見舞われ、7月30日には最高気温36・2度を記録。熱中症の症状を訴える選手も出た。パリ市は給水所やミスト装置などの冷却スポットを設置。鉄道職員が地下鉄構内で観戦客らに水を配るなどしているが、熱中症を恐れてパリでの観戦を取りやめた観光客もいるという。8月1日から本格化した陸上競技は沿道での観戦が多く、観光客が遠のく可能性もある。

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