米主導のウクライナ軍事支援会合、トランプ政権の誕生で存続の危機 米長官が支援強化訴え
産経ニュース / 2025年1月10日 9時49分
【ロンドン=黒瀬悦成】ロシアに侵略されたウクライナへの軍事支援に関し協議する米国主催の関係国会合が9日、ドイツ西部のラムシュタイン米空軍基地で開かれた。バイデン米政権の任期中で最後の会合となり、トランプ次期政権の対応次第では今回が最後の会合になる可能性がある。
オースティン米国防長官は会合で、「プーチン(露大統領)がウクライナを併呑すれば(他の国も侵略する)欲望は一層強くなる」と指摘し、ウクライナへの強力な支援を続けていくことの重要性を強調した。
オースティン氏はまた、F16戦闘機の運用を支援する装備品や防空ミサイルなど、総額5億ドル(約790億円)規模の対ウクライナ追加支援を発表した。
オースティン氏によると関係国会合は同氏の主導で2022年4月26日に初開催され、今回が25回目。参加国は約50カ国に拡大し、これまでに1220億ドル以上の軍事支援を表明してきたとしている。
また、ウクライナ支援に消極的なトランプ次期大統領が今月20日に就任するのをにらみ、ドイツが総額6億8千万ドル規模の装備品の供与を表明するなど、関係国はこの数週間で駆け込み的にウクライナへのテコ入れ策を打ち出している。
トランプ氏は今月7日の記者会見で「ウクライナ戦争を1日で終わらせる」としたこれまでの主張を撤回した。次期政権でウクライナ担当特使を務めるケロッグ退役陸軍中将は、政権発足から100日以内に戦闘を終結させると表明しているが、ウクライナ支援を続けるかどうかは明らかにしていない。
ドイツのピストリウス国防相は関係国会合で、仮に次期米政権が関係国会合を通じた支援から手を引く事態となった場合は、新たな支援調整の枠組みを構築すべきだと指摘した。
会合にはウクライナのゼレンスキー大統領も出席し、各国に軍事支援の継続を要請するとともに、ロシアとの停戦実現後に欧州各国の軍をウクライナに駐留させる構想について「ロシアを和平に応じさせる最善の手段の一つだ」として各国に具体策の検討を要請した。
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