1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 欧米

22日にドイツ・ブランデンブルク州で議会選 極右政党が躍進か ショルツ政権正念場

産経ニュース / 2024年9月20日 20時26分

ドイツ東部ブランデンブルク州で22日、議会選が行われる。移民排斥を唱える極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、中道左派で国政与党の「社会民主党(SPD)」を抑えて第1党に躍進する勢いだ。1日の東部テューリンゲン州議会選で、AfDはSPDなどを破り初めて第1党となった。ブランデンブルク州議会選でもSPDが敗北すれば、ショルツ首相は来年9月の連邦議会選に向けて厳しい政権運営を迫られることになる。

ブランデンブルク州は首都ベルリンの周囲に広がり、1990年のドイツ統一後はSPDが州議会選で勝利してきた。しかも州都ポツダムはショルツ氏の連邦議会選での選挙区だ。

しかし今月17日公表の世論調査によると、SPDは支持率25%で、トップに立ったAfD(28%)の後塵(こうじん)を拝している。

難民政策の厳格化や不法移民の強制送還などを主張するAfDが支持を拡大する背景には、ドイツ国内で移民問題への懸念が高まっている事情がある。

独西部ゾーリンゲンで8月、民間人が犠牲となる殺傷事件が発生した。独警察は、事件後に出頭し容疑を認めたシリア人の男を拘束した。この男は2022年12月にドイツに来て難民申請し、滞在が認められていた。事件を巡り、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。

欧州では、6月の欧州連合(EU)欧州議会選で極右・右派勢力が伸長した。同月末のフランス下院選第1回投票では、極右政党の国民連合が得票率で首位となった。

ドイツでもテューリンゲン州議会選に続き、ブランデンブルク州議会選でもAfDが伸長すれば、難民政策の厳格化を支持する傾向が欧州域内でさらに広がる可能性が高くなる。

またAfDは、ロシアに侵略されるウクライナへの武器供与や対露制裁にも反対の立場で、AfDが勝利すれば、EUのウクライナ支援に微妙な影響を及ぼすとの見方もある。

EUのフォンデアライエン欧州委員長は今月17日、ウクライナ支援強化に向けて欧州の武器や弾薬の生産能力を高めるため、防衛分野を担う欧州委員ポストを新設すると発表した。

ただ、欧州の軍需産業は冷戦終結後、縮小傾向が続いてきたため、生産能力の増強には時間がかかるとの分析もある。そうした中で、ウクライナへの武器供与に関し、欧州最大の支援国であるドイツで極右の伸長傾向が強まれば、支援強化を目指すEUの結束にも影響が及びかねない。

(岡田美月)

「EUの政策の方向性は変わらず」

慶応大の田中俊郎名誉教授(EU政治外交)

ドイツ東部ブランデンブルク州議会選は、急進右派の「ドイツのための選択肢(AfD)」が第1党をうかがう一方、ショルツ首相の中道左派、社会民主党(SPD)などは議席を減らす可能性がある。主要政党への不満が支持政党の多様化につながる特徴はどこの国でも見られる。特にドイツでは、移民に対する危機感から国政与党への国民の不満が高まっている。

ブランデンブルク州や、1日の州議会選でAfDが躍進した東部テューリンゲン州、ザクセン州の旧東ドイツ3州で右派への支持が伸長傾向にある。この流れが続けば、来年9月に連邦議会選を控えるショルツ氏にとって痛手となる。

欧州連合(EU)加盟国のうち、欧州議会で最多の議席数を持つドイツの政治・経済情勢はEU全体の安定に関わるため、地方選でも重要な意味合いがある。右派の伸長は欧州全体にも広がっている。

ただ、EUは、産業や環境、経済安全保障の各分野で競争力を強化する方針が既に決まっている。11月1日に始動するフォンデアライエン欧州委員長の新体制の下で、その政策の方向性が大きく変わるとは考えにくい。

(聞き手 岡田美月)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください