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血まみれで逃げる患者…「一線超えた」ウクライナの小児病院医師、露のミサイル攻撃を非難

産経ニュース / 2024年7月17日 15時32分

女性医師、レシア・リシツァさん(本人提供)

ロシアによるウクライナの首都キーウへのミサイル攻撃で、甚大な被害を受けた小児病院「オフマディト」に勤務する女性医師、レシア・リシツァさん(38)が産経新聞の取材に応じた。大勢の民間人が犠牲になった攻撃について「ロシアは超えてはならない線を超えた。許されない」と非難した。

小児病院は、キーウ駅に近い住宅街にある。病床数720の専門病院で、がんなどの治療を担う。年間2万人以上の治療実績を持ち、国外からも小児患者を受け入れる。

病院には8日、ミサイルが直撃し、一瞬にして修羅場と化した。リシツァさんによると、当時、院内には600人超の子供が治療を受けていた。リシツァさんは翌日に手術を控えた患者の体調を確認するなど診察の最中だったという。

空襲警報が鳴り響き、窓の外に目を向けると、目がくらむようなまぶしい閃光が差しこんだ。次の瞬間、隣接する病棟から火の手があがった。轟音を立てながら、崩れ落ちる様子が見えたという。

リシツァさんが診察していた病棟はミサイルの直撃を免れた。自身にけがはなかったが、診察室の窓は粉々に割れ、壁は吹き飛び、天井の一部が落下した。血まみれになった患者らが叫びながら逃げる姿も見えた。

「現実とは思えなかった。一瞬の出来事だった気もするし、永遠に続くようにも思えた。とにかく生きているのが奇跡だった」

ミサイルの直撃で病院の電源は失われ、手術を中断せざるを得ない患者もいるはずだー。パニックに陥っている場合ではなかった。「とにかく患者を守らなくてはいけない」と思い、急いで担当患者を病院の地下室に避難させた。ウクライナ西部のリビウなど、別の病院への移送にも動いた。現在も、移送されず病院に残った患者の治療や被災した院内の片付けなど、やるべきことが山積しているという。

ウクライナメディアは10日、同国非常事態当局がキーウでの救出作業を完了し、子供5人を含む民間人33人の死亡と子供10人を含む121人の負傷を確認したと伝えた。東部ドニエプロペトロフスク州での死者11人を合わせ、8日のミサイル攻撃の死者は計44人となった。ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアのミサイルは幼いがん患者を標的にウクライナで最も大きな小児病院を攻撃した」と非難した。

一方、ロシア側は8日、エネルギー施設が攻撃された対抗措置として、ウクライナの軍事産業施設や空軍基地を攻撃したと主張。小児病院を含む民間施設への攻撃を否定したが、リシツァさんは「ロシアは病院を狙って攻撃したのは間違いない。罪もない子供や、命を救おうとする医師がいる場所への攻撃は超えてはならない一線を超えた。許されるべきではない」と憤る。

リシツァさんは「ロシアを止めるにはウクライナの勝利以外にない。世界はウクライナの出来事を自分事としてとらえて結束してほしい。明日はわが身かもしれないのだから」とも訴えた(植木裕香子)

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