米「ロシアに核使用の兆候見えず」 ウクライナによるクルスク州への越境攻撃で

ウクライナ軍の砲撃で損傷したロシアの軍用車両＝９日、露西部クルスク州（ＡＰ）

ウクライナ軍によるロシア西部クルスク州への越境攻撃に関し、米ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は１５日の記者会見で、現時点でロシアが核兵器の使用を準備している兆候は見られないと明らかにした。

ロシアは核兵器を使用できる条件の一つとして、通常兵器による敵の侵略で国家の存立が脅かされた場合と国家文書で規定。ロシアが越境攻撃に関してこの規定を適用し、核兵器を使う可能性が懸念されている。

カービー氏は「われわれはここ数日間、（ロシアによる）核兵器に関する過激な言説も、われわれの戦略的抑止態勢に変更を迫るような事象も一切、見たり聞いたりしていない」などと述べた。

カービー氏はまた、越境攻撃を受け、ロシアがウクライナ侵略に投入してきた部隊の一部をクルスク州に再配置したことを確認しているとした。

一方、ウクライナ軍のシルスキー総司令官は１５日までに、クルスク州に「駐屯司令部」を設置したほか、これまでに同州の８２集落を掌握したとゼレンスキー大統領に報告した。（小野田雄一）