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ロシア国民、越境攻撃で心境に変化も…広範な政権批判にはならず ウクライナ侵略2年半

産経ニュース / 2024年8月23日 19時38分

24日で開始から2年半を迎えるロシアのウクライナ侵略は、ウクライナ軍が6日に露西部クルスク州への越境攻撃に着手したことで新たな局面に入った。露領土が侵攻された事実は、戦争に対する露国民の心境に一定の変化を与えているもようだ。ただ、現時点では、露社会でプーチン政権への批判や反戦機運が決定的に高まる兆候は見えていない。

「殴り返す権利ある」

首都モスクワの男性会社員、アレクセイさん(29)は「ウクライナには殴り返す権利があると思う」と越境攻撃に一定の理解を示しつつ、「(クルスク州の)現地住民に同情する」と複雑な心情を吐露。「とにかく早い停戦を望んでいる」と述べた。女性販売員のクセニアさん(34)は「越境攻撃を受けて露軍への動員が再開されないか不安だ」と話した。

話を聞いた他の複数のロシア人からも、越境攻撃後に停戦を望む気持ちが強まったとする声が聞かれた。

露政権は予備役を招集した2022年9月の「部分的動員」が社会の反発と混乱を招いた経緯を踏まえ、以降は高額報酬を約束した契約兵で兵力を補充する方針に転換した。露国民の多くにとって戦争は「ひとごと」となってきた。だが、越境攻撃はロシアが戦争当事国である自覚を露社会に改めて強いたもようだ。

越境攻撃への非難もあった。モスクワの年金生活男性、ワジムさん(67)は「ウクライナが越境攻撃でロシアに譲歩を迫ろうとするなら誤りだ。露国民はむしろ団結する」と指摘。女性飲食店員のエレーナさん(55)は「ウクライナは理性を失った。ファシズムだ」と主張した。無職男性のワシリーさん(26)は「露軍を支える気持ちが強まった」と話した。

プーチン氏、依然支持率80%

越境攻撃が露国民を動揺させたことは世論調査でも示唆されている。露政府系機関「世論基金」が今月9~11日、「あなたの身近な人々は現在、どんな気分だと思うか」と尋ねた調査では、「不安」との回答が45%となり、1週間前の39%から増えた。「安心」との回答はこの間に54%から48%に低下した。

ただ、越境攻撃はロシアの辺境で行われていることもあり、露社会に政権への広範な反発を引き起こす事態には至っていない。世論調査では越境攻撃後もプーチン露大統領の支持率が80%を記録した。

取材中、多くのロシア人が質問に応じるのを拒否し、侵略開始後に言論統制が強まったことが改めて実感された。(小野田雄一)

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