英国の科学協会、深海底「暗黒酸素」解明へ探査を開始 日本財団が総額4億円の資金支援
産経ニュース / 2025年1月18日 10時36分
【ロンドン=黒瀬悦成】英スコットランド海洋科学協会(SAMS)は17日、光の届かない深海底で作られているとされる「暗黒酸素」の謎を解明するため、新たな研究活動に乗り出すと発表した。
研究には日本財団(笹川陽平会長)が活動資金を支援する形で参画する。
地球上の生物が生きていく上で不可欠な酸素はこれまで、地上の植物や、太陽光が届く浅海の植物プランクトンおよび海藻による光合成のみによって作られると考えられてきた。
ところが、SAMSと米ノースウェスタン大、ボストン大などによる国際研究チームは昨年7月に学術雑誌に発表した研究論文で、深海底にある多種類の金属を含んだ岩石塊(ノジュール)が天然の電池として働き、海水を電気分解して酸素を生成している可能性を指摘した。
日本財団も昨年6月、東京大学と共同で南鳥島(東京都小笠原村)の周辺海域の海底にある岩石塊「マンガンノジュール」を調査した経緯があり、暗黒酸素とノジュールの関わりを含めた謎の解明に向けて、SAMSに向こう3年間で総額約200万ポンド(約4億円)を支援することを決めた。
SAMSは水深1万1千メートルの深海まで到達できる新たな実験装置を開発し、ノジュール周辺の酸素や水素などを詳しく調べる。機器の調整や輸送の準備を経て来年1月に探査を開始したいとしている。
笹川氏は17日、ロンドン市内での記者会見で「深海に科学の光を当てることは、暗黒酸素のみならず、地球の環境問題の(解決に向けた)非常に重要な部分を占めている」と述べた。
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