EU首脳会議 フォンデアライエン氏の2期目続投協議へ 欧州議会の承認に不透明感
産経ニュース / 2024年6月27日 20時28分
【パリ=板東和正】欧州連合(EU)は27日、首脳会議を開催し、10月末に任期が満了する行政執行機関トップの欧州委員長の次期人事について協議する。EUの主要な加盟国首脳はすでにフォンデアライエン現欧州委員長の2期目続投で大筋合意。28日まで開かれる首脳会議で人事案を固める可能性が高い。ただ、続投には欧州議会の過半数の承認も必要だ。親EU派の造反が予想され承認に不透明感が出ている。
欧州メディアによると、フランスのマクロン大統領やドイツのショルツ首相らが25日、フォンデアライエン氏の2期目続投で一致。7月の欧州議会での承認を目指す。
承認には欧州議会(720議席)のうち少なくとも361人の賛成が必要になる。6~9日の欧州議会選ではフォンデアライエン氏が所属する中道右派「欧州人民党」(EPP)など親EU3会派が約400議席を占めた。3会派の大半が同氏を支持すれば承認されるが、欧州メディアは一部の議員が反対や棄権をする可能性を指摘する。
親EU派議員の一部は、フォンデアライエン氏が掲げた低炭素社会移行のための「欧州グリーンディール政策」が物価高や農家の生産性低下を招いたと批判。EUと中国の経済関係を重視する考えから、中国の過剰生産問題に対する同氏の強硬な姿勢に否定的な見方を示す議員も存在する。
フォンデアライエン氏が承認を確実にするためには、EUの政策に懐疑的な極右や右派からも支持を得る必要がある。同勢力は欧州議会選で定数の2割以上の議席を獲得した。フォンデアライエン氏は、イタリアのメローニ首相率いる「イタリアの同胞」などでつくる右派「欧州保守改革」(ECR)との連携を模索している。
フォンデアライエン氏は欧州議会選の選挙戦でメローニ氏を「明らかに親EU派だ」と評価。イタリアの同胞と協力する用意があると述べた。
メローニ氏は外交面でEUとの連携を重視。ロシアの侵略を受けるウクライナへの支援を明確にしているが、移民規制のさらなる強化を求めている。フォンデアライエン氏とECRが協力すればEUが移民の受け入れを厳格化する可能性があり、親EU勢力の結束を危うくする恐れもある。
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