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難民危機再来の欧州、米国も不法移民急増 受け入れ厳格化も G7サミットで議題に

産経ニュース / 2024年6月13日 17時38分

13日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、欧米で急増する移民をめぐる問題も主要課題となる。

欧州ではアフリカや中東から移民や難民が押し寄せており、欧州連合(EU)は100万人以上が流入した2015年の難民危機が再来するとの懸念を強める。米国ではメキシコ国境から流入する不法移民が急増。23年に国境地帯で拘束された不法入国者は約250万人に上る。

サミットでは、G7各国が抱える移民流入の状況などを共有し、対応策を協議。議長を務めるイタリアのメローニ首相はチュニジアなど複数のアフリカの首脳を招待し、欧州へ逃れる移民の数を抑制する方法について意見交換する見通し。

メローニ氏は移民増加に歯止めをかけるには、アフリカ諸国の課題に対処する必要があるとみている。1月にはアフリカの開発に55億ユーロ(約9300億円)以上の資金を拠出し、エネルギーや農業分野への投資を通じて経済発展を支援すると表明した。メローニ氏は「アフリカの問題は1国で取り組む話ではない」としており、サミットでアフリカ支援の関与を他国に呼びかけたい考えだ。

イタリア「モデルに」

G7各国は移民を抑制するため、他国への移送や受け入れの制限など対応を厳格化させている。

イタリアはアフリカから地中海を渡って欧州を目指す人々の最初の経由地で、移民が殺到。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、昨年1年間にイタリアに到着した人数は15万7千人を超え、2022年比で約50%増えた。

メローニ首相は昨年11月、不法移民を隣国アルバニアに送る計画を発表した。計画では最大3千人を一時的に収容する施設をアルバニアに建設し、海上で救助した不法移民をイタリアに上陸させずに施設に直送。施設での審査で難民資格が得られなかった人は送還する仕組みだ。今年8月に運用が開始する。欧州人権法では一度入国させると追放が困難なことから、メローニ氏は第三国に送る方法は移民流入に悩む欧州の「モデルになる」と自信を見せた。

アフリカや中東などから小型ボートで英仏海峡を渡る不法移民の数が増加する英国でも、上院が4月、不法入国した難民申請者をアフリカのルワンダに移送するための法案を可決。早ければ7月にも移送が開始される。

極右影響で厳格化

極右の影響を受け、移民規制を厳格化させている欧州諸国もある。

フランスでは昨年12月に移民法が成立。マクロン仏政権は賛成多数で成立させるため、移民制限などを訴える極右政党「国民連合」の要望を受けて法案を修正した。仏国内で生まれた外国人の子供の国籍取得要件の厳格化などが盛り込まれ、仏紙ルモンドは法案は「(極右の)死の口づけを受けた」と評した。

ドイツでも昨年10月、不法移民の送還を容易にする法案を閣議決定。移民流入を抑止するため水際対策も強化した。同国では、移民排斥を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)がショルツ首相の中道左派「社会民主党」をしのぐ支持を集め、ショルツ氏は「極右の圧力を受けている」(専門家)。

大統領令に署名

米国では南部メキシコ国境から流入する不法移民の問題が11月の米大統領選の争点になっている。もともと移民に寛容な立場を維持してきたバイデン民主党政権だが、不法移民が急増して市民の不安が高まり、対策強化への転換を図った。今月4日には、メキシコ国境で査証(ビザ)など正規資格を持たない不法入国者が一定数を超えた場合に難民申請の受理を停止し国境を一時的に〝閉鎖〟することを柱とする大統領令に署名した。

同じく移民に寛容な姿勢を示してきたカナダのトルドー政権も移民急増による家賃高騰を受け、来年から永住権取得者の上限を定め、留学生の就学許可も削減する。(ファサーノ・イタリア南部 板東和正、坂本一之)

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