ウクライナ軍、東・南部の２集落から撤退か 昨年の大規模反攻で奪還

ロシアによるウクライナ侵略で、ウクライナメディアは１６日、同国軍参謀本部筋の話として、同国軍が東部ドネツク州の集落ウロジャイノエと南部ヘルソン州のドニエプル川東岸地域の集落クルインキから撤退したと報じた。両集落はウクライナ軍が昨年夏～秋にかけ、大規模な反攻作戦の一環として奪還したことを発表していた。

両集落からのウクライナ軍の撤退が事実であれば、前線で露軍が優勢にあることが改めて示された形となる。露国防省はこれに先立つ１４日、ウロジャイノエを制圧したと主張していた。

両国軍は現在、戦略的要衝であるドネツク州チャソフヤル方面や東部ハリコフ州クピャンスク方面で激戦を展開。兵力で勝る露軍は、ウクライナ軍が両方面に戦力を集中させている隙を突き、手薄になった別の方面で支配地域を拡大しようとしているもようだ。

ただ、昨年の反攻が不首尾に終わった後、露軍の損害拡大を狙いとする「守勢」の戦術に移行したウクライナ軍にとって、突出部となっていたウロジャイノエやクルインキの戦略的重要性は高くなく、両集落の喪失が事実だった場合でも、戦局に与える影響は限定的だとみられる。

ウクライナ軍は昨年の反攻で、露軍の占領下にあるアゾフ海沿岸地域や南部クリミア半島方面への前進を企図。８月にウロジャイノエを奪還したほか、１０月にはドニエプル川を渡河して露軍の支配下にある同川東岸地域に進出し、クルインキを確保していた。

しかし、ウクライナ軍は露軍の強固な防衛線に直面して戦力を損耗。秋までに前進は停止した。