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イタリア「現代の奴隷」に衝撃 腕切断のインド人労働者 路上放置され死亡

産経ニュース / 2024年7月2日 16時36分

イタリア西部の農場で6月、不法就労していたインド人男性が機械に腕を切断される大けがを負った後、雇用主に路上に放置され、失血死した。事件を機に、外国人のヤミ雇用と搾取の現実が浮き彫りになり、メローニ政権の移民政策を揺さぶっている。

事件は6月17日、首都ローマ南方70キロのラティーナで起きた。国営イタリア放送協会(RAI)によると、インド人男性は31歳で、作物の梱包機械に巻き込まれた。雇用主は病院に連れて行かずに男性を宿舎前まで車で移送し、切断された腕ともに路上に置き去りにしたという。

近所の人が救急隊を呼び、男性は病院で手当てを受けたが、2日後に死亡した。

男性は正規の雇用契約を結ばず、健康保険に加入していなかった。雇用主は不法就労の実態が明るみになるのを恐れたとみられている。捜査当局は、雇用主を過失致死と救助義務違反の疑いで調べている。

日給3400円 14時間労働も

雇用主の父親は、RAIで「息子は機械に近寄るなと警告したのに、言うことを聞かなかった」と死亡した男性を批判した。非人道的な対応に反発が広がり、6月下旬には現地のインド人労働者らが「奴隷のような搾取はやめろ」と訴えて抗議行進を行った。事件を機に、マフィアがあっせんする不法就労の実態も明らかになった。外国人は日給20ユーロ(約3400円)で、1日最大14時間の労働を強いられているという労働調査団体の報告もある。

イタリアでは、農場の季節労働を外国人に頼るケースが多く、過去にもヤミ就労問題が浮上している。2018年には、南部のトマト農場で働くアフリカ人約200人が「奴隷扱い」に抗議してデモを行った。

メローニ首相は移民対策が看板で、今回の事件を受けてただちに「イタリア人がこのような非人道的行為を犯してはならない。厳しく罰するべきだ」と国会で表明した。首相は不法移民の取り締まりを強化する一方、25年までの3年間で45万人以上の外国人労働者を招く計画を進めているさなかだった。国内では農業や建設、観光分野などで人出不足が深刻化している。

インド政府は事件を受けて「重大な懸念」を表明し、イタリア政府に事件の責任を追及するよう求めた。(三井美奈)

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