英労働党の外相候補「日本との関係は重要」 対中露で「現実直視の外交」目指す
産経ニュース / 2024年7月2日 18時0分
【ロンドン=黒瀬悦成】英国の最大野党、労働党の「影の外相」を務めるデービッド・ラミー下院議員(51)が1日、ロンドンの外国特派員協会で記者会見した。日本との関係について「英国にとり非常に重要だ」と述べ、4日の英総選挙を経て労働党政権が誕生した際には、英国の加盟が承認された環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などを通じて、日英の貿易関係の維持を重視していく考えを表明した。
ラミー氏は日英伊の次期戦闘機の共同開発を「画期的」と評価した。中国の威圧的行動や北朝鮮の核・ミサイル開発などを念頭に、「日本が直面する近隣諸国との課題を認識している」とし、「日本と一緒に一連の課題に取り組んでいきたい」と語った。
ラミー氏は労働党政権が誕生した場合に外相に就任する見通し。正式就任後、早期に訪日する意向も明らかにした。
ラミー氏は労働党の外交政策として「進歩的現実主義」を掲げ、旧来の労働党政権の一部で目についた左派的イデオロギーに根差した外交政策から脱却し、「現実直視の外交」を進めると強調した。
ロシアに侵略されるウクライナへの支援については「英国では支援継続で超党派の合意ができている」と指摘。労働党のスターマー党首が首相に就任した場合に国際外交デビューの場となる米ワシントンでの北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(9~11日)で、英国がウクライナへの継続的支援をうたった共同宣言の発表を後押しする考えを明らかにした。
対中政策では、約14年間にわたる保守党政権の中国への取り組みについて「一貫性がなく、まともに関与してこなかった」と主張。気候変動や保健分野では協力しつつ、貿易関係では競争し、特に安全保障分野では対決姿勢を打ち出す方針を明らかにした。
英国が2021年に完全離脱した欧州連合(EU)との関係では「再加盟を目指さない」と明言する一方、新たな枠組みによる貿易活発化や、ロシアの脅威をにらんだ安全保障分野での連携強化に向けた新協定の締結を模索するとした。
ラミー氏はロンドン出身。ロンドン大、ハーバード大法科大学院などを経て00年から下院議員。スターマー氏の側近の一人として知られ、21年から影の外相を務めている。
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