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マクロン氏、フランス下院選で起死回生の賭けに誤算 極右の過半数阻止へ他党との協力課題

産経ニュース / 2024年7月1日 21時4分

【パリ=板東和正】フランスのマクロン大統領が起死回生のために敢行した賭けに失敗する公算が大きくなった。6月30日の国民議会(下院)総選挙の第1回投票では、与党連合が再び大敗し、マクロン氏への逆風の強さが示された。7日の決選投票に向けて、極右政党「国民連合」(RN)による過半数の議席確保を阻むことが課題となる。

立て直し狙った異例の下院解散

RNのバルデラ党首は30日夜、RNが与党連合を得票率で10ポイントあまり引き離して首位に大躍進した投票結果について、「フランス国民は明確な評決を下した」と強調した。

マクロン氏は、6月の欧州連合(EU)欧州議会選で与党連合がRNに大敗したことを受け、下院解散という異例の手段に出た。大統領としての任期満了は2027年だが、与党連合は下院の少数派で、議会運営に困難が生じている。極右台頭への国民の警戒感の強さに期待をかけ、政権基盤の立て直しを狙ったとみられる。

選挙戦でも「国粋主義者の台頭はフランスだけでなく欧州にとり危険だ」と極右伸長に警鐘を鳴らした。

排外的な主張を薄め「脱悪魔化」

ただ、トップダウン型のマクロン氏の政治手法に国民は不満を募らせていた。昨年の年金受給開始年齢引き上げでは、関連法案を下院で採決なしに強行採択させる憲法の特例を適用。物価高騰に苦しむ国民は激怒し、激しい抗議デモが各地で繰り返された。

一方、RNは排外的な主張を薄めて国民の警戒感を薄める「脱悪魔化」を進めた。年金受給開始年齢の引き下げにも意欲を見せて、幅広い層で支持を広げた。

米政治専門サイト「ポリティコ」によると、6月下旬時点でマクロン氏の不支持率は7割を超えていた。有権者の一人は「マクロン氏の誤算は、RNがすでに与党連合よりも広く浸透しつつあったことだ」と述べた。ある与党連合の支持者は「完全な敗北」と漏らした。

極右伸長を阻止してきた伝統

マクロン氏は決選投票でRN候補の当選を可能なかぎり抑えるため、得票率で2位となった左派連合「新人民戦線」などと候補者の一本化などを進める考え。フランスでは2回投票制の下院選などで極右が伸長しそうな場合、各党は党派を超えて協力し、阻止してきた伝統がある。

新人民戦線内にも今回、与党連合との協力に前向きな姿勢が出ている。ただ、マクロン氏は新人民戦線の経済政策を「非現実的」などと批判してきた。対立が深い中でどこまで選挙協力が進むかは見通せない。

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