極右躍進、第1党うかがう勢い 仏下院選第1回投票 与党連合は3番手に
産経ニュース / 2024年7月1日 7時5分
【パリ=板東和正】フランスの国民議会(下院、定数577)選の第1回投票が6月30日行われ、即日開票された。移民の制限などを訴える極右政党「国民連合(RN)」が得票率で首位となり、第1党をうかがう勢い。最大勢力だったマクロン大統領率いる与党連合は3番手に沈み、議席が大幅に減少する見通しだ。7月7日に決選投票が行われる。
仏紙フィガロ紙に掲載された仏調査会社IFOPなどによる推計では、共闘勢力を含むRNの得票率は33・5%となり、首位に立った。左派連合「新人民戦線」は28・5%と2位。与党連合は22・1%にとどまった。
決選投票はRNがどこまで議席数を獲得できるかが焦点となる。過半数に達した場合はRNのバルデラ党首が極右出身初の首相に就任する公算が大きく、RNを事実上率いるルペン前党首は支持者に「われわれは過半数議席が必要だ」と訴えた。
一方、マクロン氏は声明で、各政党や勢力に決選投票での選挙協力を呼びかけた。アタル仏首相も「決選投票で(RNに)票を与えてはならない」と表明。決選投票では、中道や左派を中心に候補者の一本化などRN阻止に向けた動きが出てくる可能性がある。
フランスの政治制度では、大統領は議会の多数派の党から首相を指名する。RNが第1党となれば、マクロン氏はRNから首相を指名せざるをえない。RNのバルデラ党首は下院選でRNが過半数の議席を獲得した場合、首相就任を求める意向を示していた。フランスでは首相が内政を担当するため、移民政策やウクライナ支援の予算などをめぐる大統領の政策遂行力が制限される。
バルデラ氏は移民政策で、国内で生まれた外国人の子供が18歳になると国籍を得られる現行の仕組みの廃止を主張。ウクライナ支援では仏軍の派遣や長距離ミサイルの供与に反対の姿勢を表明している。仏軍要員のウクライナ派遣などを掲げているマクロン氏と対立する可能性がある。
ただ、IFOPは、RNの予想獲得議席は240~270と予測し、過半数の289議席に届かないとみている。IFOPによると、新人民戦線が180~200議席と2位。与党連合が60~90となり、解散前の250議席から少なくとも160議席も減少すると見込まれている。
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